積水ハウス「幸せ度調査」で分かった、長時間労働より部下を追い詰める「理不尽」の正体:「褒めて伸ばす」は思い込み?(4/5 ページ)
積水ハウスグループは020年から毎年、従業員の「幸せ度調査」を続けている。同社のデータからは、労働時間の長さは「オーバーワーク」と感じるかどうかに、それほど関係がないという結果が出た。
調査から見えた「社員の傾向」とビジネスへの好循環
もちろん、幸せ度調査の実施には会社としてのメリットもある。例えば、調査の結果からは、企業理念である「人間愛」がきちんと浸透していることが確認できた。
「(前野教授の研究によって導き出された)幸せの4因子というものがあります。『やってみよう』因子(自己実現と成長)、『ありがとう』因子(つながりと感謝)、『なんとかなる』因子(前向きと楽観)、『ありのままに』因子(独立と自分らしさ)というものですが、当社の社員は『ありがとう』因子に当たる感謝力や利他力が他の因子に比べて高い特徴があります。これが、お客さまの幸せを願っての行動に現れ、顧客満足度の高さに反映されているのではないかと思います」
「もともと、お客さまのために尽くすような社風を感じてはいましたが、幸せ度調査によってあらためてそのことが確認できたことは、非常に良かったです」(山田さん)
顧客に尽くすことが、自分の気持ちに反して会社から強制されるものであれば、社員の幸福にはつながらない。しかし社員の「ありがとう」因子が高いということは、顧客のために行動することが、自分の喜びにもなっている可能性が高い。そのような社員が多いという会社の強みが、幸せ度調査によって明確になったわけだ。
また、幸せ度調査の際には自律に関する独自の設問も加えている。これにより、自分が「自律して働いている」と感じられている人ほど幸福度が高く、かつ前年と比較して幸福度が伸びていること、さらに個人の業績評価も高い傾向にあることが分かった。自律を促す人材戦略の正しさがデータで裏付けられており、経営にとっても心強い結果と言える。
山田さんは、調査項目の一つである「チャレンジを推奨する雰囲気」のスコアの変化にも注目する。2020年度と比較して2025年度は3.12ポイント伸びており、これは新規ビジネスのアイデアや企業価値向上に資する実績を公募し表彰する制度「SHIP」に力を入れてきたことなどの効果と見られるからだ。
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