「服のサブスク」はなぜ儲からないのか エアークローゼットが10年で黒字化できた背景:サブスクの勝算と限界(4/5 ページ)
撤退が相次ぐ「服のサブスク」市場で、エアークローゼットが創業10年で初の黒字化を達成した。物流コスト削減や継続率94%超を支える改善の積み重ね、その裏側を追った。
継続率を高めるための地道な取り組み
黒字化を支えるもう1つの柱が、94%を超える月次継続率だ。細かなサービス改善を重ね、例えば返却の仕組みは、当初ボックスごと返送する方式だったが、通勤途中にコンビニで返却する利用者が多いことが分かり、持ち運びしやすいアルミ製バッグに変更した。
さらにヤマト運輸と連携し、アプリ上のQRコードをコンビニで提示するだけで返却が完了する仕組みを、日本で初めて導入した。天沼氏は「お客さまにとって『なくてはならないサービス』になることが全て。返却が面倒では、そうした存在にはなれない」と語る。使い続ける上でのストレスを一つずつ解消していく姿勢が、高い継続率の土台となっている。
一方、ユーザーが離脱する最大の要因は「届いた服が期待と違った」というスタイリングのミスマッチにある。好みに合ったものが欲しいのか、新しいテイストに挑戦したいのか、トレンド重視なのかはユーザーによって異なるが、以前はこうした期待値の違いを把握しきれていないこともあった。
現在は、AIを活用した「AIスタイリストアシスタント」を導入し、登録時の情報に矛盾がないかを自動検知する仕組みを構築している。画像では「フェミニン」なテイストを選んでいるのに、言葉では「クール」と回答するケースなど、ユーザー自身も気付いていないズレをAIが検出し、確認を取ることで初回からの満足度を高めている。
2026年3月には「セルフセレクト」機能も導入した。スタイリストに任せるだけでなく、自分で服を選ぶことも可能にしたものだ。「自分で服を選びたい」という声は、退会理由の約4割を占めていた。新機能では、既存ユーザーの離脱を防ぐと同時に「人に選んでもらう」ことに抵抗があり、これまで入会しなかった層の取り込みも狙っている。
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