「100万円修行」の次は「5000万円預金」 三井住友カードが狙う“新富裕層”:「ポイント経済圏」定点観測(3/6 ページ)
三井住友カードが最上位カード「Olive Infinite」を投入した。条件を満たせば年会費9万9000円が無料になる異例の設計だ。背景には、決済競争から「預かり資産」獲得へ移る金融業界の新戦略がある。
捨てたのは「最も安定した収入」だった
なぜ三井住友カードは、ここまで踏み込めるのか。答えは、カード会社の収益構造を見れば分かる。
クレジットカード会社の収入源は、大きく3つに分かれる。第1に、加盟店から受け取る決済手数料。これは薄利多売で、公正取引委員会が2025年に公表した加盟店手数料率の加重平均は1.42%だった。そこから7割程度がカード発行会社の取り分となる。年間100万円を使うユーザーがいれば、カード会社にはおおよそ1万円の手数料が入る計算になる。
第2に、キャッシングやリボ払いといった与信ビジネスの手数料収入。そして第3が、年会費というサブスクリプション的な収入である。
3つのうち、年会費は最も安定的だ。決済額や金利環境に左右されず、毎年一定額の収入が見込める。特にプラチナ以上のカードは、高額の年会費を徴収する代わりに手厚い特典でロイヤリティを高め、決済額の大きい富裕層をつなぎ止めてきた。これがプレミアムカード市場の基本構造である。
Olive Infiniteは、その安定収入を手放し、代わりにグループの銀行預金とSBI証券の預かり資産を取りに行く設計に舵(かじ)を切った。カード事業単体ではなく、SMBCグループ全体で収益化するモデルへの転換だ。
説明会で示された5年後の目標は、Oliveを通じた預金残高10兆円、資産運用残高10兆円。合わせて20兆円規模の資産をグループ内に抱え込む構想である。SMFGグループが2026年5月の投資家説明会で示した次期中計でも、Olive関連の利益貢献見通しは従来の800億円から1100億円へ上方修正された。年会費無料化は、この構想の中で読むべきものだ。
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