「100万円修行」の次は「5000万円預金」 三井住友カードが狙う“新富裕層”:「ポイント経済圏」定点観測(4/6 ページ)
三井住友カードが最上位カード「Olive Infinite」を投入した。条件を満たせば年会費9万9000円が無料になる異例の設計だ。背景には、決済競争から「預かり資産」獲得へ移る金融業界の新戦略がある。
預金が再び「原資」になった
Olive Infiniteのような設計が成り立つ背景には、もう1つの構造変化がある。金利が動き始めたことだ。
日銀がゼロ金利政策の出口に動いた2024年以降、銀行業界では預貸金利ざやがじわりと戻り始めた。預金は単なる調達コストではなく、運用原資として再び価値を持つようになっている。銀行はコストをかけてでも、預金を集めにいく動機を得た。
SMFGの個人預金残高は、2023年3月の57.9兆円から2026年3月には62.7兆円まで拡大した。3年間で約5兆円増である。次期中計では、これを2028年度に65.7兆円まで引き上げる目標を掲げる。
同時に進んでいるのが、デジタル富裕層の獲得競争だ。auじぶん銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行といったネット銀行各社が、証券口座との連動による金利優遇や手数料優遇を武器に、富裕層を取り込もうとしている。
ここで言う富裕層とは、対面証券に資産を預けるシニア層ではない。昨今の株高などで知らぬ間に資産を膨らませ、日々の金融取引はスマホで完結させる、新興のデジタル富裕層だ。
発表会でデジタル富裕層の金融資産の水準を問われた伊藤亮佑氏(三井住友カードマーケティング本部本部長)は、「明確にいくらとは設定していない」とした上で、こう答えた。
「現役世代で忙しく、普段はデジタルを使いこなしながら、必要なときに相談するというスタイルを好まれる方々を広く対象としている」。Olive Infiniteの最上位カード無料化は、預金を集めたい銀行側のニーズと、新興デジタル富裕層を取り込みたい狙いが重なって生まれた戦略だ。
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