「管理職」が“憧れ”ではなくなった 30〜40代に広がる出世回避の背景:広がる「静かな退職」(3/5 ページ)
「管理職になりたい」と考える正社員が減少し、30〜40代男性にその傾向が見られるという。なぜ今、多くの働き手が管理職を目指さなくなったのか。パーソル総合研究所の研究員・中俣良太氏に聞いた。
「管理職=成功」の価値観が崩れつつある
管理職離れの背景として、「責任だけ増えて割に合わない」というイメージを持つ人も多い。SNSでは「管理職は罰ゲーム」といった表現も見られる。
ただ、中俣氏は「実態は少しずつ変わりつつある」と話す。
「企業側も管理職の処遇改善を進めています。賃金データを見ても、管理職層の賃金は上昇傾向にあります」
実際、コロナ禍以降、管理職の負担を見直す動きが広がっている。かつて問題視された長時間労働も改善が進み、DXや業務効率化によって、管理職の業務負荷を軽減しようとする企業も増えている。
それでも、「管理職になりたい」と考える人は増えていない。その理由について中俣氏は、「割に合わないというより、コスパやタイパの問題として捉えられているのではないか」と指摘する。
近年は、若い世代を中心にタイパを重視する傾向がある。管理職になれば収入は増えるかもしれないが、一方で部下育成や人事評価、組織運営などの責任も負うことになる。ハラスメント対応やコンプライアンス対応など、管理職に求められる役割も増える。
「管理職は評価される立場であると同時に、さまざまなリスクも抱えています。収入が増える一方で、社内調整や人間関係のマネジメントも求められる。そのため、タイパが悪いと感じる人もいるのでしょう」(中俣氏)
また、ハラスメント防止への意識の高まりやコロナ禍を経て、上司と部下の距離感が以前よりも遠くなった。その結果、部下育成そのものに関心を持てない人も増えているという。
「専門性を高めたいから管理職になりたくないというより、他者に強い関心を持てない人が増えている側面があります。部下を育成したり、チームをまとめたりすることに、魅力を感じにくくなっているのです」(中俣氏)
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