なぜ若者まで「とりあえず赤星」と頼むのか テレビCMゼロでも10年で3.5倍に伸びた理由:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
サッポロビールの「サッポロラガービール」(通称:赤星)は、テレビCMを一度も打ったことがない。それにもかかわらず、出荷数量は10年で約3.5倍に拡大した。市場縮小の中で成長を続ける理由を探った。
売り上げが伸びている背景
このような数字を目にすると「人気タレントを起用して、大量の広告を投下したのでは」と思われたかもしれないが、テレビCMは打っていない。そもそも発売以来、一度もテレビCMを流したことがないのだ。
にもかかわらず、なぜ売り上げが伸びているのか。その背景には、3つの要因がある。
1つめは「缶商品の投入」だ。赤星は長らく瓶ビールのみを販売していたが、2016年に数量限定で缶タイプを発売した。もともと「酒場で飲むビール」として親しまれてきたブランドである。そのため、缶商品を販売すれば、飲食店で飲む特別感が薄れるのではないかという懸念もあった。
しかし、サッポロは缶をブランドの“入り口”と位置付けた。スーパーやコンビニで見かける→自宅で飲んでみる→飲食店で瓶を注文する。そんな流れが少しずつ生まれていったのだ。
2つめは「口コミ」の広がりである。「赤星がある店は間違いない」「昔ながらの酒場なら赤星」――。そんな評判が常連客や飲食店オーナーの間で広がっていったという。
もちろん、口コミが勝手に広がったわけではない。サッポロは営業担当者による飲食店への提案活動を続けてきたほか、「赤星★探偵団」といったオンラインコンテンツを通じて、同商品を提供する店や酒場文化を発信してきた。
こうした地道な活動によってブランドと消費者の接点が増え、「飲んでみたい」「あの店に行ってみたい」という関心が高まった。その積み重ねが口コミの広がりにつながったのである。
3つめが「酒場」そのものの変化である。ここ数年、ネオ大衆酒場や昭和レトロをテーマにした飲食店が増えている。焼き鳥、もつ焼き、煮込みを看板メニューにする酒場では、赤星が置かれていることも少なくない。
若い世代にとっては、こうした酒場文化そのものが「新しい体験」として映っているようだ。かつては中高年の常連客が静かに飲むビールという印象が強かったが、いまでは若い客が「とりあえず赤星」と注文する姿も見られるようになった。
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