「離職の予兆」は見抜けない エースが突然消える“サイレント離職”のメカニズム(2/4 ページ)
自発的退職の多くは突発的なショックが引き金であり、「離職の予兆」を追っても予見は不可能だ。企業が見るべきはどこなのか。
「離職の予兆」はない
雑談や会話、笑顔が減る。新しい仕事への意欲が薄れる。報連相は必要最低限、遅刻やミスが増える。よく休む。長期プロジェクトを引き受けたがらない――。
サイレント離職の予兆としてよく挙がるのがこれらの言動だ。管理職向けの研修でこれらの行動を“離職の予兆”として配れば、誰もがうなずくことだろう。だが、この“あるある”には、致命的な穴が3つある。
あくまでも「相関関係」
サイレント離職は“サイレント”という定義からして兆候が表に出にくいものだ。前述した言動は、辞めた人を企業側が後から振り返って「そういえばあれがサインだったかもしれない」と拾い直したものにすぎず、このようなサインがあった人が皆辞めるわけでもなければ、これらのサインが無いから“サイレント離職”しないわけでもない。つまり、これらの言動はあくまでも相関関係にすぎず、因果関係のある兆候とはいえない。
離職の多くは突発的な「ショック」が引き金となる
米ジョージタウン大学のブルックス・ホルトム教授らの研究によると、自発的な退職の5〜6割の引き金は、不満だけではなく「ショック」を伴うという。昇進見送り、想定外の低評価などの社内におけるショックのほか、知人や他社からの仕事の誘い、結婚や引っ越しなどの家庭の事情まで――。ある日の突発的な出来事が、離職を一瞬で決断させる。離職のサインをいくら見張っても、これらを予見することは難しいだろう。
不満があっても、建前で覆われる
エン・ジャパンの調査によると、会社に伝えた退職理由の上位は「別の職種に挑戦したい」といった前向きな言葉だ。この建前をうのみにすれば、別の職種へのチャレンジの機会を与える社内制度をつくるなどといった的外れな施策に走り、評価への不納得や人間関係という真因を取り逃がす。辞めると決めた本人から聞き取った表向きの離職理由ほど、当てにならないものはない。
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