16年ぶりに『学研の学習』が復刊 4290円でも予約殺到、AI時代に求められる“体験”の価値:「はにわ」の組み立てキットが付録(3/5 ページ)
2010年に休刊した『学研の学習』が16年ぶりに復刊した。価格は4290円ながら予約が想定を上回り発売前増刷も決定。少子化や出版不況が続く中、なぜ今復活を決めたのか。
なぜ今『学研の学習』を復刊するのか
少子化や出版市場の縮小は現在も続いているが、なぜ復刊に踏み切ったのか。
吉野氏は「クオリティーの高い、良い商品だったが、時代のニーズと合わず休刊してしまった。世の中がもう一度必要とするなら、復刊する価値があると考えていた」と話す。
再び『学研の学習』や『学研の科学』が求められる環境になりつつあると判断した背景には、AIの進化がある。AIの性能が上がっている中、知識を得るだけでなく、自ら経験して考える力の重要性が改めて注目されているという。加えて、スマートフォンの普及やコロナ禍を経て、実際に手を動かして体験することの価値も見直されつつある。
こうした変化を受け、子どもたちが自ら作り、観察し、試行錯誤できる教材への需要が再び高まっていると判断。紙媒体を取り巻く環境は厳しさを増しているが、吉野氏は『学研の学習』にはデジタルでは代替できない価値があるとみている。
「デジタルで情報を得るだけでは、差は生まれにくい。手を動かして触れることで、感動し、自分ならではの視点が育まれる。デジタルが優勢な世の中だからこそ、リアルな体験が求められている」(吉野氏)
例えば、勾玉作りキットでは、粗さの異なる複数枚の紙やすりで四角い石を勾玉の形に削り、ぴかぴかに磨きながら時間をかけて完成させる。古代の人々と同じように手を動かして、現代の子どもたちは「昔の人もこうやって作っていたのか」と実感できる。
一方、体験価値を高める手段として、デジタルも積極的に活用している。『学研の科学』の復刊に合わせて開設した「あそぶんだ研究所」は、会員数6000人超の無料オンラインコミュニティーだ。
本誌と連動したオリジナル動画や記事を配信するほか、読者の子どもたちが好きなことや気になったことを投稿して、交流できる場としても機能している。編集部によるワークショップに読者が参加して実験や工作を一緒に楽しめるほか、ライブ配信を通じて編集部のメンバーや研究者とチャットで直接やりとりすることもできる。
狙いは、付録のキットを作って終わりにしないことだ。コミュニティー上で作品を共有したり、イベントやワークショップに参加したりすることで、子どもたちが商品に触れる時間を長くし、学びや発見をさらに広げてもらう考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
チャンネル登録者35万人→合計300万人 『コロコロコミック』が小学生男子相手に“本気”でやったこと
『コロコロコミック』が、YouTubeやNintendo Switchでの取り組みに力を入れている。誌面でのコンテンツに加えて、デジタル戦略に力を入れる狙いについて、同誌の小林副編集長に話を聞いた。
「売上7割」の楽天市場から撤退、なぜ? 社員も大量離職…… それでも決めた“老舗家具店3代目”の狙い
売り上げの7割を占めていた楽天市場から撤退――。売り上げ減と赤字を経験しながらも、実店舗を軸に黒字化へと転じた「攻めの撤退」の狙いを聞いた。


