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データセンターの排熱で発電!? 東電「新しい火の発明」が夢物語と言い切れないワケ(1/2 ページ)

データセンターが抱える「電力消費問題」の解決に挑む東京電力HD。半導体が発する熱で発電する「新しい火の発明」を掲げるが、実現できるのか。

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 生成AIの活用が広がる一方で、AI処理を支えるデータセンターの「電力消費」が深刻な課題となっている。電力なくしてAIは動かず、AIなくして今後の産業成長は描けない。

 この難題に取り組むのが、東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)とさくらインターネットだ。東京電力HDは、データセンターの排熱で電気を作る「新しい火の発明」に挑む。ITインフラ企業のさくらインターネットは、再生可能エネルギーを用いた「CO2排出量ゼロのデータセンター」を掲げている。

 あまりにも壮大なこれらの挑戦は、“夢物語”で終わらず、データセンターを巡る諸課題の打開策になるのか。テクノロジーイベント「Interop Tokyo 2026」のパネルセッションで語られた最新動向を整理する。

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さくらインターネットが運営する石狩データセンター(出所:さくらインターネットのプレスリリース)

本記事は、Interop Tokyo実行委員会が主催したイベント「Interop Tokyo 2026」(6月10〜12日開催)のData Center Summit特別パネルセッション「激変するデータセンタービジネスとデジタルインフラ AIの進化とワット・ビット連携」を取材したもの。


データセンターの排熱で発電!? 東電「新しい火の発明」構想

 経済産業省の「第7次エネルギー基本計画」では、データセンターと半導体産業により電力需要は増加するが、日本にとって戦略的な重要産業であり、その発展・拡大に向けた対策を実施しなければならないとしている。

 パネルセッションでモデレーターを務めた東京大学大学院の江崎浩教授(情報理工学系研究科)は「エネルギー安全保障とデジタル経済安全保障の両立をどう図るかが重要な課題だ」と語る。

photophoto 左:東京大学大学院の江崎浩教授、右:東京電力HDの岡本浩氏(撮影:平行男)

 課題解決に向けた技術的ボトルネックが「熱」だと指摘するのは、東京電力HDの岡本浩氏(上席フェロー)だ。同氏は、電気インフラ(ワット)と、ITインフラ(ビット)を一体的に扱って最適化する構想「ワット・ビット連携」を提唱した人物だ。

 技術革新によって半導体の性能が18カ月で2倍になると予測した「ムーアの法則」に沿うように、コンピュータの演算能力(ビット)は飛躍的に成長したが、同時に電力消費密度と発熱密度(ワット)も上昇し続けている。

 岡本氏は、発熱の課題を「新しい火の発明」の機会と捉え直す。東京電力HDの研究所では、110℃程度まで上昇するGPU(画像処理半導体)から80〜90℃の蒸気を発生させ、熱を移動させる蒸発冷却技術「矢嶌サイクル」を開発している。岡本氏は「見た目はボイラーに近く、そこそこ高温の熱が生じるので、暖房にも冷房にも活用できる」と説明する。

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半導体が発する熱を利用する矢嶌サイクル(出所:岡本氏の講演資料、撮影:平行男)

排熱を養殖に活用 電力と熱を“地産地消”するアイデア

 岡本氏が示したのは、人体の構造になぞらえたインフラ像だ。人の脳は、考えた結果を最終的に熱として放出する。人体はその熱を、血管を通じて全身に循環させ、体温調節に生かしている。

 これをデータセンターに置き換えると、サイバー空間は神経系や脳、フィジカル空間は骨格や筋肉、両者をつなぐ血管は電力グリッドに当たるという。「冷却をやめる発想も必要で、出てきた熱を有効活用すればよい。人体がそうなっているのだから、なぜそれをまねしないのか」と岡本氏は問いかける。

 その具体像が「電力・情報・熱の地域循環」である。太陽光や蓄電池などの分散型電源が普及する中、エージェンティックAIやフィジカルAIに対応したエッジデータセンターを地域に置くことで、近くの工場や病院のAI利用を最適化できると同時に、排熱を地域へ供給するインフラにもなる。

 さらに岡本氏は「Power to Meal構想」を提示した。電力が余剰になりがちな地域にデータセンターを設置し、農業・畜産・陸上養殖といった、暖房などで熱を必要とする一次産業と組み合わせる。地域にある電源を生かした農産物や加工品が生まれ、輸出産業にもなり得る循環モデルだ。

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電力・情報・熱の地域循環(出所:岡本氏の講演資料、撮影:平行男)

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