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人里に近づくクマとどう向き合うか オオカミが追い払い、AIが見つける試行錯誤の現場(3/4 ページ)

クマによる人身被害が過去最多となる中、対策は新たな段階に入っている。オオカミ型の撃退装置やクマが開けられないゴミ箱、AIによる検知システムなど、従来の鈴やスプレーに代わる“テクノロジー型対策”が各地で導入され始めている。

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20年間、突破されたことのないゴミ箱

 クマが人里に下りてくる理由の一つは、食べ物の存在だ。ツキノワグマは本来警戒心が強く人を避けるが、放置された生ゴミの味を一度覚えると警戒心が薄れ、行動パターンが変化する。やがてゴミに執着して人里への出没を繰り返すようになり、最終的には「問題個体」として駆除される。

 こうした人間由来の食べ物を断つ対策の一つが、ピッキオ(長野県軽井沢町)の「Bear Smart Box」だ。クマが物理的に開けられない構造のゴミ箱で、ゴミの味を覚えさせないことを狙う。

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クマが物理的に開けられない構造のゴミ箱「Bear Smart Box」(画像はピッキオ提供、以下同)

 軽井沢町のゴミ集積所では、1999年に年間129件あったクマによるゴミ荒らしが、本製品の導入後、2009年に0件まで減った。導入から20年以上が経過した現在も、クマに破られた事例はないという。

 扉には油圧式のダンパーを備え、子供や高齢者でも軽い力で開閉できる。ただし、開けるには「手を掛ける」と「レバーを引く」の2つの動作を同時に行う必要がある。この「2動作ロック機能」は、クマの手の構造では再現できない。本体を横倒しにできない設計も組み合わせ、「のぼりべつクマ牧場」(北海道登別市)で実際のクマによる検証も行った。

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ゴミ箱の扉の開け方
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「のぼりべつクマ牧場」での実験の様子

 基本構造は、20年以上前の初期モデルから大きく変えていないが、設置場所に応じて仕様を選べるようにした。運んで置くだけの「フレーム型」と、大型車が入れない場所でも搬入できる「組み立て型」があり、幅も標準とスリムの2種類から選べる。

 価格は1台68万2000円〜、10台以上の大口注文なら62万7000円〜。安くはないが、軽井沢に設置された初期モデルは、20年以上経った現在も大きな劣化はなく、現役で使われている。販売開始後は、クマの生息域に近いキャンプ場などから問い合わせが寄せられているという。

 優れた嗅覚を持つクマにとって、人里のゴミや農作物は格好の食べ物だ。容易に高カロリーを得られると学習させないことが、出没を防ぐ前提になる。もっとも、ゴミ箱を置けばすべて解決するわけではない。ピッキオの広報担当も「クマが出没する原因は場所ごとに異なる。それを分析したうえで、必要な対策をとる必要がある」と指摘する。

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