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みずほはなぜ「中小企業」に向き合うのか 銀行が埋めようとする“空白地帯”(2/4 ページ)

みずほフィナンシャルグループは、中小企業向け金融サービスに本格参入した。安価なネット型口座と手厚い支援型という従来の二極化を、UPSIDERとの連携によるAI与信で超えようとしている。銀行の構造転換の試みだ。

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「安い口座」か「手厚い支援」か

 中小企業向けの金融サービスは、長らく2つに分かれてきた。一方は、安く使いやすい法人口座だ。ネット系の銀行に多く、手数料も手続きも軽い。ただし、融資や取引先の紹介といった成長支援は付きにくい。

 もう一方は、その成長支援を手厚く備える口座だ。融資も、人材や取引先の紹介も受けられる。代わりに口座管理や振り込みの手数料がかさむ。安さを取るか、手厚さを取るか。成長する会社は、どこかでこの選択を迫られてきた。


本サービスが崩そうとしている「二者択一」を一枚で説明したスライド。安い口座は成長支援がなく、手厚い口座は割高で、成長するほど銀行を乗り換える必要があった。この従来構造こそ、UPSIDER・宮城社長が創業期に自ら味わってきた不便である

 UPSIDERの宮城徹社長は、その不便さを自ら味わってきた。創業期に億単位の資金を借りた際に頼ったのは、ノンバンク系の金融機関だった。個人保証付き、担保付きで、金利は10%超。「大手の金融機関との取引は、最初、事業がちゃんとあっても難しかった」と振り返る。事業が回り始めても、人を張れない規模の取引先には、管理部門の支援も、取引先紹介やM&Aの紹介も回ってこない。

 乗り換えにも痛みが伴う。安い口座から手厚い口座へ移れば、取引先数百社に入金口座を通知し直し、裏側の業務プロセスもつくり直す。しかも、安い口座で積んだ返済実績は信用として引き継がれず、移った先でゼロから積み直すことになる。2つが分かれているために、成長のたびにコストがかかる構造だった。


二者択一をどう一体化するかの種明かし。利便性は「人手に依存しないオンライン完結」で、成長支援は「決算書・担保に頼らないAI与信」で実現するという。安さと手厚さが両立できなかった理由を、それぞれ別の技術で外しにいく構図だ

 この2つを、技術で1つにできないか。それが今回の発想だ。宮城氏は、その狙いをこう表現する。「相反するコンセプトだと言われてきたものを、両方して提供できる道がないのか」。

 利便性の側は、みずほの基盤に技術を重ね、対面や人手に頼らないオンライン完結に寄せる。成長支援の側は、みずほの融資ノウハウにUPSIDERのAI与信を掛け合わせ、決算書や担保に依存しない融資をオンラインで届ける。

 設計の柱は、融資を成長段階に沿ってつなぐことだ。創業期の支援融資から、AI与信で最大1.5億円を即時提示するUPSIDERキャッシュブースト(無担保・無保証・決算書不要、最短2営業日で着金)、2027年春に始まる最大3億円のみずほオンライン融資、さらに共同運営するファンドによる最大10億円の融資まで。金額も返済期間も、段階を上がるごとに途切れず伸びる。法人カードにも、AI与信で最大10億円の枠を付ける。

 1つの口座の中で、「安さ」と「手厚さ」を両立する。それがこのサービスの骨格だ。ただ、同じ市場を狙う動きは、みずほだけではない。

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