コラム
“夕日ビール”はなぜ蘇ったのか シェア1割、アサヒ大逆転の舞台裏:大阪ビジネス(2/3 ページ)
「苦味が強いほど良い」とされた時代に、アサヒビールは消費者の声に耳を傾けた。その結果生まれたのがスーパードライだ。業界3位からの復活劇を、大阪商人の精神とともに振り返る。
消費者は「コクがあるのに、キレがある」味を求めていたのです。コクとキレはいわば真逆。両立は不可能とされていたところを、試行錯誤を重ねて生まれたのが1986年(昭和61年)に発売されたのが現在の「アサヒ生ビール」。
これが大ヒットを巻き起こします。長らく樽生でしかこの味わいは楽しめませんでしたが、2021年(令和3年)に「マルエフ」が発売されたことで缶でも手に入るようになりました。
そして、1987年(昭和62年)にはビール業界の歴史を塗り替える、日本初の辛口ビール「スーパードライ」を発売。「夕日ビール」は一気に「朝日」のように昇り詰め、シェアトップを奪還。この成功は、競合他社を震撼させ、日本のビール市場全体を「ドライ戦争」へと巻き込みました。
アサヒが成功したのは、「伝統を守ること」よりも「お客さんの舌」を信じたからです。老舗のプライドを捨て、ゼロベースで市場を見つめ直す。歴史を重ねるほどこの選択は難しくなっていきます。
アサヒはいまも斬新なアイデアで客を楽しませています。2021年(令和3年)に日本で初めて缶のフタを開けると泡が出てくる「生ジョッキ缶」を発売。商品開発に約4年をかけた渾身の商品は、発売されると大ヒット。生産が追いつかず、どこの店からも姿を消す事態にもなりました。
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