2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

音楽のヤマハが「あえて聞こえにくくする」謎音声 オフィスや病院で導入進む、逆転の発想アセットの「再定義」(3/6 ページ)

楽器メーカーとして知られるヤマハが手掛けるのは、「音を良くする」のではなく「あえて聞こえにくくする」技術だ。会話漏れを防ぐスピーチプライバシーシステムは、病院や企業で導入が拡大。コロナ後のオフィス環境の変化を追った。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

コロナで一変したオフィス環境

 スピーチプライバシーシステムを発売したのは2011年。当時、ある不動産デベロッパーから「会議室の間仕切り壁の性能が低くて声が漏れてしまう」という相談を受けたことが出発点だったという。

 その際、北米では以前から利用されていたサウンドマスキングという考え方を提案したことをきっかけに、国内でもニーズがあるのではないかと検討を始めた。

 事業化にあたって最初にターゲットとしたのは、個人情報を扱う病院や薬局だった。これらの場所では、診察内容や薬の説明など、第三者に聞かれると困る会話が日常的に交わされている。


漏洩対策(オフィスの一例、出典:ヤマハ、以下同)

周囲に漏れる会話の内容を分かりづらくする

 ところが販売を続ける中で、想定外の需要が見えてきた。

 企業でも、役員会議や人事面談、顧客との商談など、外部に漏らしたくない会話は数多く存在する。金融機関や法律事務所など、さまざまな業種から相談が寄せられ、現在では企業向けの導入が大きな割合を占めるようになったという。

 さらに、コロナ禍を境に市場環境はより大きく変化した。

 リモートワークの普及によってオンライン会議が日常化すると、オフィスでは至る所でWeb会議が開かれるようになった。オンライン会議では、相手に声を届けようとして自然とボリュームが大きくなりやすい。一方で、出社率が以前より低くなったことでオフィス自体は静かになり、人の話し声がかえって目立つようになった。

 また、近年はコミュニケーション活性化を目的に、壁を減らしたオープンオフィスが増えている。遮音する構造そのものが少なくなったことで、「会話が漏れる」「周囲の会話が気になって仕事に集中できない」という課題も広がった。

 実際にコロナ禍以降、問い合わせが急増し、デモ機の貸し出し件数は、毎年1000件を超える状態が続いているという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る