インタビュー
音楽のヤマハが「あえて聞こえにくくする」謎音声 オフィスや病院で導入進む、逆転の発想:アセットの「再定義」(2/6 ページ)
楽器メーカーとして知られるヤマハが手掛けるのは、「音を良くする」のではなく「あえて聞こえにくくする」技術だ。会話漏れを防ぐスピーチプライバシーシステムは、病院や企業で導入が拡大。コロナ後のオフィス環境の変化を追った。
ヤマハならではの工夫
スピーチプライバシーシステムでは、この「被せる音」にヤマハらしい工夫が凝らされている。
ヤマハでは、老若男女、複数人の声をあらかじめサンプリングし、それを切り刻んだり逆再生したりすることで、それ自体は意味を持たないが、人が話しているような「情報マスキング音」というものを独自に作っている。これに森や川のせせらぎ、街の雑踏などといった環境音を組み合わせて流す。(※実際の音声は最終ページで確認できる)
「サウンドマスキング自体、決して『いい音』ではない。だからこそ、小さな音量でもしっかり効果を出し、不快感をできるだけ抑えることを目指した」
商品企画を担ったヤマハミュージックジャパンの金子勇さんは、こう説明する。
「それなら街中の雑踏を録音して流せば自作できるのでは?」
こうした疑問を投げかけられることもあるという。しかし、それでは雑踏の中の言葉や単語の意味そのものが気になってしまい、会話が阻害されてしまう。だからこそ「人の声らしさ」は残しつつも、言葉としての「意味」は持たせない。絶妙なバランスが、この技術の特徴だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「ヤマハ VS.ヤマハ発動機」ロゴの違い、あなたは分かる?
ヤマハとヤマハ発動機のロゴが似ていることをご存じでしょうか。
ヤマハが試しにつくった「エレキ」が面白い “牛肉の部位”に見えてきた
ヤマハがちょっとユニークなことに取り組んでいる。楽器の制作工程で使われなかった木を集めて、エレキギターを完成させたのだ。それにしても、なぜわざわざ手間のかかることをしたのか。その秘密を担当者に聞いたところ……。
ヤマハはなぜ“六角形の船”を開発するのか 速さより居心地の良さを目指したワケ
ヤマハ発動機が開発を進める「Sixフロート」は、滞在を楽しむ水上プラットフォーム。実証実験を通じて、どのような姿が見えてきたのか。開発担当者に話を聞いた。
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。