AIに企業理念を宿せるか? スポーツ小売り・ヒマラヤ、接客ノウハウまで学習した「AI副店長」開発の舞台裏(1/4 ページ)
スポーツ用品店をチェーン展開するヒマラヤ(岐阜市)は「アイダ つなぐ」と名付けた“AI副店長”を6月から全99店舗に導入した。同社店舗運営部の金丸智功氏(部室長代理)とヒマラヤスポーツ本館店長の高島雅央氏に、AI副店長開発の舞台裏を聞いた。
現在、多くの小売企業が、接客現場での生成AI活用を進めている。しかし、その多くはマニュアルなどの形式知の学習にとどまり、現場スタッフの接客業務をサポートできているとは言い難い状況にある。
そうした中、スポーツ用品店をチェーン展開するヒマラヤ(岐阜市)は「アイダ つなぐ」と名付けた“AI副店長”を6月から全99店舗に導入した。
同社がAI副店長に学習させたのは、店舗マニュアルなどの形式知だけではない。創業以来掲げる「お客さま第一主義」という企業理念や、ベテラン社員が積み重ねてきた接客ノウハウといった暗黙知まで学習し、マインドと業務スキルの両面から現場スタッフをサポートしている。
背景には、接客業務の効率化だけでなく、同社が50年かけて継承してきた企業理念の風化という課題があった。同社店舗運営部の金丸智功氏(部室長代理)とヒマラヤスポーツ本館店長の高島雅央氏(※「高」は「はしごだか」)に、AI副店長開発の舞台裏を聞いた。
薄れつつあった理念への危機感
ヒマラヤがAI副店長を導入した背景には、多店舗展開する企業の多くが抱える課題があった。店舗マニュアルや社内ルール、動画資料など業務に必要な情報が一カ所にまとまっておらず、複数のシステムに分散して保管されていたのだ。金丸氏は「現場スタッフは接客中、素早い判断を求められる場面が少なくない。顧客対応をよりスピーディーに、かつ効率的に行うための解決策が必要だった」と振り返る。
加えて、より深刻だったのが「企業理念の風化」である。「当社には、創業者が掲げ、50年間大切にしてきた『お客さま第一主義』という強い理念がある。しかし、時代の変化とともに、スタッフの間で『そこまで過剰なサービスはしなくてもいいのでは』という意識が少しずつ芽生え、理念が薄れつつあることを危惧していた」と金丸氏。
「このままでは次の50年に理念を継承できない。まだ現場にベテランたちがいるうちに、その『思い』を伝えられるAIを作りたいと考えた」(金丸氏)。そこで、同社のマーケティング部門から、AI技術を提供するTHA(東京都新宿区)を紹介され、2025年9月から開発に着手した。
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