売れる自販機は「1台」で考えない JR東日本の駅ナカで育った“商圏”のヒミツ:インタビュー劇場(不定期公演)(6/6 ページ)
自販機市場が縮小する中でも、売り上げを伸ばす自販機がある。そのカギは、自販機を「1台」で考えない独自の“商圏”づくり。JR東日本の駅ナカで磨かれた、意外な売り場の発想を聞いた。
ときどき「駅を見に行って」
小室: もちろん、コンビニの影響が全くないわけではありません。ただ、利用客は目的に応じて使い分けていると思っています。食べ物と飲み物を一緒に買いたい人はコンビニへ行くでしょうし、レジに並ばず飲み物だけを買いたい人は自販機を利用するでしょう。そのため、コンビニが近くにあるからといって、自販機を設置しないという考え方はしていません。
今回は商圏の2つの例を紹介しましたが、実際にはさまざまなケースがあります。重要なのは、それぞれの商圏に合わせて、どの商品をどの自販機に並べるかを考えること。そのためには、販売データの分析が欠かせないんですよね。
例えば、一番人気のミネラルウオーターは、多くの自販機に並べます。一方で、コーヒーはどうするのか。1台にはブラック、もう1台にはカフェラテを置くなど、商品の組み合わせを変えてみる。その組み合わせによって、1台当たりの売り上げを伸ばせるのかを試しながら運用していますね。
土肥: なるほど。試行錯誤を続ける中で、ある程度「この配置なら売れる」というパターンは見えてきたのでしょうか。
小室: いえ、改善の繰り返しですね。その大きな理由の一つが駅の工事です。売り上げは好調だったのに、工事の影響で場所を移さなければならないことも。しかも、工事が終わっても元の場所に戻せるとは限りません。駅の構造が変わり、設置場所や向きを変えざるを得ないこともあるんですよね。
また、駅のホーム工事がなくても、利用客の動きが変わることがあるんですよね。例えば、ホームへ下りる階段を工事していて、2つある階段のうち1つが使えなくなることがあります。そうなると、その階段の近くにある自販機は人通りが減るので、売り上げに影響が出るんです。
こうした工事の情報は、事前に分かっていれば対応できるんですよね。ただ、見落としてしまうこともあります。そうした異変を教えてくれるのが、販売データなんですよね。
例えば、駅全体の売り上げは前年比101%なのに、この自販機だけ94%しか売れていない。「なぜだろう」と思って現場へ行ってみると、近くの階段が工事で閉鎖されていた、ということもあるんですよね。
というわけで、販売データだけですべてが分かるわけではありません。データを見て、実際に現場も見る。この2つを組み合わせて分析することが大切なんですよね。
土肥: なるほど。データはうそをつかない。でも、ときどき「駅を見に行って」とも言っているわけですね。本日はありがとうございました。
(おわり)
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