2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

売れる自販機は「1台」で考えない JR東日本の駅ナカで育った“商圏”のヒミツインタビュー劇場(不定期公演)(5/6 ページ)

自販機市場が縮小する中でも、売り上げを伸ばす自販機がある。そのカギは、自販機を「1台」で考えない独自の“商圏”づくり。JR東日本の駅ナカで磨かれた、意外な売り場の発想を聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

駅ナカで磨かれた「商圏」

小室: 例えば、駅のホームにある階段を下りると真正面に自販機1台があり、その奥に縦に並んだ自販機が3台あるとします。駅の利用客にとって、計4台の自販機が目に入るわけですが、こうした場所のことを「商圏」と呼んでいるんですよね。

 最も売れるメインの自販機は、階段から下りてきて、真正面に見えるものです。では、その奥にある縦に並んでいる3台の自販機には、どのような商品を並べるべきでしょうか。


商圏の一例。階段を下りた正面にある自販機が最も売れやすい(ChatGPTで作成)

土肥: ん? 基本的には、売れ筋の商品を並べればいいのではないでしょうか。販売データを分析して、人気の飲料から順番に並べていけばいい、という発想ですね。

小室: 4台に同じ商品を並べてしまうと、利用客は「この自販機にもないし、隣にもない」と、欲しい商品を見つけられないかもしれません。そうではなく、「この自販機になくても、隣にはある」というように、商品を分けて並べることが大切なんですよね。

 では、もう1つ例を挙げます。駅構内の階段を下りた先に、自販機が正面に設置されているケースです。利用客は左右2方向の階段から集まり、それぞれの動線上に自販機(計2台)があります。右側の階段から下りた利用客の先には自販機があり、その背後にはコンビニ、さらに奥にはベンチがあります。

 一方、左側の階段から見ると、自販機の先にベンチ、その奥にコンビニがある配置です。このように、複数の動線や周辺施設が影響する場所では、商圏をどのように考えればよいでしょうか。


商圏の一例。コンビニやベンチがある場所で、どのようなラインアップを並べればいいのか(ChatGPTで作成)

土肥: うーん、どちらの自販機も好立地ですよね。階段から下りてくる人にとって、真正面に自販機がある。それぞれ別の商圏として考えるのでしょうか。

小室: いえ、このような場所では、2台を1つの商圏として考えています。先ほどの例では、階段を下りた正面にあるほうが中心的な役割を担っていました。一方、今回のケースでは、左右どちらも利用されるため、2台ともメインとして考えています。

 ただし、1つの商圏として運用しているので、両方の自販機に同じ人気商品ばかりを並べることはしません。「こちらになくても、もう一方にはある」という状態になるよう、商品の並べ方を工夫しているんですよね。

土肥: ただ、気になるのは、コンビニの存在です。右側の自販機を見ると、すぐ裏にコンビニがありますよね。そのため、飲み物を買う人がコンビニに流れてしまい、売り上げに影響が出るのではないでしょうか。

 さらに、左側の階段から下りてきた人にも、自販機の先にコンビニが見える。この場合、2台ともコンビニの影響を受けるのではないでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る