「耳をふさがない集音器」にNTTやカシオが参入 補聴器普及率15.6%の日本で広がる新市場(2/5 ページ)
耳をふさがない「集音器」市場が活況だ。NTTソノリティやカシオ計算機、ミライスピーカーなどが同領域の新製品を発売し、次々ヒット。クラウドファンディングで約4.5億円を集める事例も出ている。なぜ同市場が盛り上がっているのか取材したところ……。
“耳の老眼鏡”をイメージ
日本補聴器工業会によれば、日本の難聴者の割合は11%(約1350万人)。補聴器所有率は、欧州の50%前後に対し、日本では15.6%にとどまる。
補聴器を使わない理由は、「耳に着け続けるのがわずらわしい」「老いを感じさせる見た目への抵抗感」「品質への不満」「高額」など。こうした課題を踏まえ、各社はオープンイヤーの集音器に着目した。
NTTソノリティでは、孤独や認知症につながると言われる「聞こえづらさ」の課題解決を目指し、集音器市場へ参入。2025年12月に新製品「ココエイヤー」を発表した。
「イメージは、ちょっとした耳の困りごとを解決する『耳の老眼鏡』です。普段はイヤフォンとして使えて、必要なタイミングでは、ボタン一つで集音器に切り替わります。日常的に使いやすい見た目や耳にサッとかけられる装着感にもこだわりました」(NTTソノリティ 製品事業部長/新規事業開発室長 川合悠介氏)
同製品には、NTTの特許技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」を搭載。これは音漏れを抑え、自分だけに音が届く音響空間をつくる技術だ。イヤフォン用途にとどまらない分野での音響技術を磨き上げたことで、特に制御が難しいとされる高音域でも音漏れを抑えることに成功した。また、独自チップにより音処理の遅延を約2.5ミリ秒(0.0025秒)まで短縮したことで、ハウリングも大幅に抑制するという。
さらに、専用スマホアプリに接続すると、左右の音量バランスや音質を調整できる。ただ、「アプリはあくまで補助的な役割です」とcocoeプロダクトマネージャーの中野達也氏は強調した。
「利用のハードルを下げるため、アプリを使わず装着するだけで十分な音質にすることを目指しています。また、補聴器業界に長年身を置いていた私は、『補聴器と集音器は区別するべきである』とも考えています。それぞれアプローチやメリットが異なるため、あえて補聴器の領域には踏み込まず、機能を制限しています」(NTTソノリティ 中野氏)
一方、カシオでは、各利用者の聞こえ方に合わせたサウンドコントロール機能を充実させている。
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