障害者雇用が現場業務を「年6500時間」減らした ニッスイの“思考の転換”がすごい(2/3 ページ)
ニッスイは障害者雇用を通じて、現場の業務時間を、年間で約6500時間削減するという成果を上げました。同社の障害者雇用をリードする、ニッスイ 人事部 人事課の柳田貴子氏、白木亮平氏、武内洵平氏に話を聞きました。
「できること」を見える化し、業務の幅を広げる
井上: 障害者雇用について、多くの企業から「どのような業務を依頼すればいいのか分からない」「任せる業務の範囲を広げるのが難しい」といった声を聞きます。
柳田氏: 当社も最初から業務が集まっていたわけではありません。立ち上げ当初は、当時の人事部長のリーダーシップのもと、全社から業務を集めるところからスタートしました。
中には難易度の高い業務もありましたが、依頼元の部署にも協力してもらいながら、実績を積み重ねてきました。その結果「こういう業務もお願いできるんだ」という認識が社内に広がり、徐々に各部署から相談や依頼が集まるようになりました。
白木氏: 「Excelを使ったデータ集計も任せてください」など、障害のある社員ができることを具体的に提示することで、相談や依頼の幅が広がるという効果もありました。
そのほかにも、社内報で発信したり、定期的な説明会を開催したりしています。障害のある社員一人一人の得意なことや、興味関心をまとめた「プロフィールブック」を作成したり、障害のある社員が主催する懇親イベントを企画して他部署と1対1で交流できる機会を作ったりしています。
こうした交流をきっかけに、元調理師という経歴がある障害のある社員に、営業担当から「このカニカマを使ったメニュー提案をしてくれない?」といった仕事の相談に発展することもありました。
私たちは社内に向けて「障害者雇用に協力してください」とお願いすることはありません。現場に聞くのは「今、手が回っていない仕事はありませんか」「困っている業務はありませんか」ということ。障害者雇用ありきで仕事を考えるのではなく、現場の課題を起点に業務を考えています。
大切にしているのは「仕事を軸に障害者雇用を進める」という考え方です。障害者雇用のために新しい仕事をつくるというよりも、現場が抱える課題を整理し、チームが力を発揮できる形へつなげていくイメージです。
もちろん、必要なサポートや合理的配慮は欠かしません。しかし、それはあくまで障害のある社員一人一人が仕事で力を発揮するためです。一人のプロフェッショナルとして、現場で必要とされている役割を担ってもらうことで事業に貢献する。この積み重ねが「成長と活躍」につながると考えています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
慕われる“雑談おじさん”を切り捨てた企業の末路 ギスギス職場を救う「見えない貢献」の正体
かつて日本の職場には、仕事をしているのかいないのか分からないけれど、なぜか周囲に慕われる「潤滑油」のような先輩や上司がいました。今、こうした人々の「目に見えない貢献」が、再び脚光を浴びています。
ロート製薬「エントリーシート選考廃止」は、30年続く“とりあえず就活”を変えるか
「エントリーシートによる書類選考廃止」を発表したロート製薬。同社の取り組みは、1990年代から30年以上続いた“とりあえず就活”を変えるでしょうか。
「AIリストラ」に逆行 “人間不要論”が広がる一方で、あえて採用増やす企業の狙い
ここ数年で「AIリストラ」というワードが話題になるなど、生成AIにより採用抑制に踏み切る動きが相次ぎました。生成AIの普及によって変化した採用動向を整理しつつ、「AIを契機に採用を加速させる企業の特徴」「AI時代にIT人材へ求められるスキルの変化」を解説します。
ブルーカラーとて“安泰”ではない AI時代に最もリスクヘッジが利く「2軸スキル」とは?
DXでは、省人化・自動化を図る目的でAIによる業務代替が進行し、特にホワイトカラー領域で顕著です。ホワイトカラーへの雇用リスクが増大する中、人間だからこそできる、体を使った「ブルーカラーワーク」が再評価されています。

