障害者雇用が現場業務を「年6500時間」減らした ニッスイの“思考の転換”がすごい(1/3 ページ)
ニッスイは障害者雇用を通じて、現場の業務時間を、年間で約6500時間削減するという成果を上げました。同社の障害者雇用をリードする、ニッスイ 人事部 人事課の柳田貴子氏、白木亮平氏、武内洵平氏に話を聞きました。
2026年7月、障害者の法定雇用率が2.7%へと引き上げられました。障害者雇用が拡大する中で、多くの企業の人事部門に共通する悩みが「どのような業務を依頼すればいいのか分からない」「依頼する業務の範囲を広げるのが難しい」といったものです。
こうした中、障害のある社員の活躍と事業への貢献の両立を目指しているのがニッスイです。同社の障害者雇用率は3.15%(2026年3月時点)を達成。加えて、障害者雇用を通じて、現場の業務時間を「年間で約6500時間削減する」という成果を上げています。
同社の障害者雇用をリードする、ニッスイ 人事部 人事課の柳田貴子氏、白木亮平氏、武内洵平氏に話を聞くと、きっかけには“思考の転換”があることが見えてきました。 聞き手は人事業務や法制度改正を研究するWorks Human Intelligence総研リサーチの研究員で、社会保険労務士の井上翔平。
障害のある社員10人で、22部署から約160種類の業務を受託
井上: ニッスイでは障害者雇用のありたい姿として「成長と活躍」を掲げています。この考え方は、どのようにして生まれたのでしょうか。
柳田氏: 2022年12月に当時の法定雇用率を達成したことがきっかけでした。それまでは法定雇用率を達成することを意識して取り組んできましたが、達成したタイミングで「この先、ニッスイとして障害者雇用をどう進めていくべきか」と改めて考え直すことに。障害のある社員の代表メンバーと半年以上かけて対話し、ニッスイとして目指す障害者雇用のありたい姿を「成長と活躍」としました。
井上: ニッスイに入社された障害のある社員はまず、人事部人事課内の「ビジネストラストチーム」に配属されるそうですね。
柳田氏: ビジネストラストチームは2016年に発足しました。障害のある社員がビジネスパーソンとして成長することを促進し、さまざまな業務経験を通して、ゆくゆくは他部署への異動などの、人財輩出に向けた育成を目的としています。現在は障害のある社員10人が在籍しており、私たち人事部3人がサポートをしています。
白木氏: ビジネストラストチームは、人事・総務関連や原料・資材調達、営業サポートなど、22部署から約160種類の業務を受託しています。
障害者雇用では、サポートする側が業務を管理し、障害のある社員が作業を担う体制を採用している企業もあります。ですが、ビジネストラストチームは、障害のある社員それぞれが担当業務を持ち、主体的に仕事を進めることを基本にしています。自分の業務は自分で管理することを第一とし、人事部が細かく管理するわけではありません。
困ったときは一緒に解決しますが、その際も「こういう困り事がある」と自分から発信してもらうようにしています。
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