軽EV「ラッコ」は日本で売れるのか BYDが抱える、中国メーカーならではの課題:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
BYDの軽EV「ラッコ」がいよいよ発売された。装備や価格でも国産の軽EVと勝負できる製品に仕上がっているが、品質には不安が残る。品質の高さを求めるユーザーが多い日本市場で定着できるだろうか。
BYDの3モデル試乗で“違和感”
筆者は昨年、静岡・御殿場で開催されたBYDのプラグインハイブリッド車(PHEV)「SEALION6(シーライオン6)」の試乗会に参加した。その際、BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長や開発エンジニアと話し、若きエンジニアの熱意、装備や仕様への自信について聞いた。
PHEVのSEALION6(上)とEVセダンのSEAL(シール)。EVとPHEVではパワートレインは異なるが、室内装備などの部品は共用されている。しかし個体差を大きく感じることがあり、部品の品質管理に疑問を持った(筆者撮影)
しかし、PHEVのシーライオン6とEVのシーライオン7、セダンEVのシールの3台を乗り比べた結果、違和感を覚えた。
この3台は基本構造を共通とする部分が多く、多くの部品を共用している。しかしながら、3台のウインカーの操作感はそれぞれ異なる。同じデザインでもレバー操作時のストロークが違っていた。しかも1台は、右折時にウインカーレバーを操作してもウインカーが点滅しないことがあった。
また、ステアリングのチルト&テレスコピック機構(ハンドルの位置を調整する仕組み)は電動ではなくレバーによって固定するタイプだが、これも車両ごとに感触が大きく異なり、1台はレバーを下ろしても部品同士の摩擦が大きく、かなり力を込めて、部品同士がこすれ合うような感触で動かす必要があった。
PHEVのパワートレインの出来は文句の付けようがなかったが、それ以前の機械としての品質にはやはり疑問符を付けざるを得なかったのだ。
開発と生産は別物だ。いかに良い設計を施し、高いスペックを実現できても、量産では、安定して高品質な製品を作り続けられるか、不良品を検査で確実に見つけられるかが重要になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”
中国のBYDが日本で軽自動車のEVを投入すると話題になっている。しかし、日本で売れるのかは微妙だ。その背景には、モノづくりに対する根本的な考え方の違いがある。品質に対する姿勢が従来と変わらないなら、日本ではあまり受け入れられないだろう。
EVは本当に普及するのか? 日産サクラの「誤算」と消費者の「不安」
日産の軽EV、サクラの販売が伸び悩んでいる。EVは充電の利便性に課題があることに加え、リセールバリューの低さが問題だ。ならばPHEVだ、という傾向もあるが、PHEVにも将来的に懸念される弱点がある。EVやPHEVを快適に使うためのシステム整備が求められる。
なぜホンダは伸び悩むのか 11年連続首位「N-BOX」が抱えるジレンマ
2025年度もホンダの軽自動車、N-BOXが最も売れたクルマとなった。しかし、これがホンダの業績の足を引っ張っているのではないか。軽自動車市場での優位性を生かしつつ、得意としてきたユニークなクルマづくりで価値を創り出していってほしい。
ハイエースはどこまで進化できる? 「変えたくても変えられない」ニッポンの商用バン事情
トヨタのハイエースはビジネス用途を中心に、幅広い業種で利用されている。その歴史を見ると、使い勝手の良さと高級感を高めたことで広く支持されてきた。一方、現行の200系は20年以上フルモデルチェンジしていない。それはなぜなのか。
やっぱり売れたジムニーノマド 4ドア化でも“本格オフローダー”が支持された理由
ジムニーノマドが爆発的な人気を維持している。ノマドは4ドア化しただけでなく、快適性や使い勝手も高めており、より幅広い層の需要を取り込んだ。ジムニーは「楽しいクルマ」のニーズに応えるブランドとして、ますます強みを発揮していくだろう。
