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アメックスが売る「メンバーシップ」の正体「ポイント経済圏」定点観測(5/5 ページ)

アメックスは「カードではなく、メンバーシップを売っている」と語る。しかし、お金を払えば誰でも入れる会員制は、サブスクと何が違うのか。説明会とランチ懇親会での取材を通じて、その違いを考えた。

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つまみ食いはお断り?

 ここまで並べてみて、ようやく謎の正体が言葉になった。アメックスのメンバーシップとは、入り口で選ばない代わりに会費でふるいにかけ、会員歴を刻印し、そうして保たれた会員基盤の質を元手に、お金だけでは買えない体験をパートナーから調達して配る仕組み、ということになる。

 エルメスやフェラーリが忠誠の履歴を入り口の審査に使うのに対し、アメックスは選抜を、毎年の年会費という踏み絵に分割している。やり方は違っても、着地点はどちらも「お金だけでは手に入らないもの」なのだ。

 だとすると、この仕組みの天敵は、特典だけを使い倒して、決済は高還元の他社カードに寄せる「チェリーピッカー」である。年会費を投資と捉え、特典の利用で元を取ろうとする――そうした損得勘定で利用する会員が増えるほど、会費というふるいは目が粗くなる。


ベリーがこれでもかと載ったデザート。さくらんぼは一粒もなかった(筆者撮影)

 そういえば7月のプラチナ刷新では、無料宿泊の追加やエアラインクレジットの継続に「年間500万円利用」という条件が付いていた。さくらんぼだけをつまむ会員には、ちゃんと手が打たれているわけだ。

 なるほど、そういうことか。謎はどうやら解けた。今度誰かに「メンバーシップって何ですか」と聞かれたら、少しはましな答えができそうだ。そういえばこの日のデザートには、ベリーがこれでもかと載っていたのに、さくらんぼは一粒もなかった。つまみ食いはお断り、ということかもしれない。

筆者プロフィール:斎藤健二

金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


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