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「インクが出ない」が武器になった ゼブラがボールペンの弱点を逆転させた理由アセットの「再定義」(3/5 ページ)

紙ではインクが出るのに、iPadでは出ない――。一見すると「弱点」に見えるボールペンの性質を、ゼブラは逆転の発想で機能に変えた。長年培った技術をデジタル時代にどう生かしたのか、開発の舞台裏を追った。

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ボールペンの技術を、どうデジタルに生かすか

 紙ではボールがしっかり回転してインクが出る。一方、滑らかな画面ではボールが回転せず、インクが出ない。この相反する状態をどうつくるかが、開発のポイントになった。ゼブラは、これまで培ってきたチップとインクの技術を組み合わせながら、70種類以上の組み合わせを試し、インクも400種類以上試作した。

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インクの試作は400種類以上

 iPadの画面は、微弱な電気に反応して指やペン先の位置を捉えている。ゼブラは、導電性のシリコンゴムを指の代わりに画面へ当てる仕組みの「スタイラスC1」(528円)というボールペンを以前から販売している。スタイラスツーウェイは、リチウムイオン電池からペン先へ電気を送り、タッチ入力を行う。そのため、スタイラスC1とは仕組みが異なる。

 ただ、ゼブラだけではデジタル側の技術までカバーできない。そこで、エレコムとの共同開発を進めた。ゼブラは長年培ってきたペン先とインク、筆記体験の設計を担い、エレコムは本体の機構設計・回路設計、生産・品質管理を担当した。ノックをクリップ部分に置いたのもゼブラの案だ。本体の全長が長く、ペンの後端にある天面のノックには指が届きにくいためだ。

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ノック位置はクリップ部分にある

 エレコムからは、電気信号を調整しやすくするためにボール径を0.7ミリや1.0ミリにしてほしいと要望が挙がったものの、ゼブラは0.5ミリを譲らなかった。「ボールペンとして最も書きやすい太さだからだ」と田中氏は説明する。 通常のタッチペンの半分ほどの細さのため、開発では信号の強度調整に苦労した。

 試作から量産までに重ねた検証は、2000パターンを超える。企画の立ち上げから発売まで、約5年を費やした。両社が役割を分担し、協議を重ねた末に、スタイラスボールペンという新しいカテゴリーが生まれた。

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