インタビュー
「インクが出ない」が武器になった ゼブラがボールペンの弱点を逆転させた理由:アセットの「再定義」(4/5 ページ)
紙ではインクが出るのに、iPadでは出ない――。一見すると「弱点」に見えるボールペンの性質を、ゼブラは逆転の発想で機能に変えた。長年培った技術をデジタル時代にどう生かしたのか、開発の舞台裏を追った。
買っているのは誰か
発売から約1カ月。具体的な数値は非公開だが、計画を上回るペースで売れている。ゼブラの広報担当は、「新規ブランド製品としては、これまで新しいブランドを立ち上げたときよりも売れ行きが良い」と評価する。発売前からSNSで期待の声が広がり、関心が高まっていたことが要因だという。
ターゲットについては、共有や保存はiPadで、自分用のメモや思考の整理は紙で、と使い分ける層を想定していた。会議で資料に書き込みながら、手元のノートに考えを書き出す。
例えば看護師は、電子カルテを導入する病院が増える一方で、現場のメモは紙という人が少なくない。紙とiPadを行き来する人ほど、1本で済むメリットは大きい。
実際の購入層は、想定と大きなギャップはなく、学生や仕事でiPadを使う層が中心だ。口コミには「学校でiPadを使うので興味を持った」というコメントが並ぶ。文具として見れば、1万6500円は高く見える。しかし、iPadとの併用が前提になるため、スタイラスペンの価格帯として見ると、受け入れられやすいようだ。
一方で、課題は対応機種の少なさが挙げられる。「iPadなら全部使えるはずだと思われがちだが、実際は難しい」と田中氏は説明する。細いペン先で信号を安定させる難しさに加え、Appleが内部の仕様を公開していないため、対応機種を広げるには時間がかかるという。
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