ソフトバンクGが「また」1兆円の個人社債、にじむ“追証回避”の焦燥(1/4 ページ)
SBGは高金利を提示し個人向け社債で1兆円を調達する。背景にはOpenAI投資に伴う巨額債務の返済圧力や、株価下落による追証リスクを回避する狙いがある。格付けの壁を越え「安全な防衛資金」を確保する焦燥に迫る。
2019年9月、ソフトバンクグループ(SBG)は個人投資家から第56回無担保普通社債で4000億円を借りた。当時の利率は年1.380%だった。その社債が満期を迎えるのは9月17日である。同じ日に、SBGはお金を返した上で、新しく1兆円を個人投資家から借りることになる。
SBGは8月24日、個人投資家向けに1兆円の社債を発行すると発表した。国内企業が発行する個人向け社債では過去最大規模となる。期間は7年、利率の仮条件は市中金利の高騰もあって年4.30〜4.90%まで上昇している。愛称は「福岡ソフトバンクホークスボンド」だ。
購入単位は100万円で、購入者全員に「お父さん応援隊長」のトートバッグが贈られるという。
ここで素朴な疑問が浮かぶ。SBGの保有株式価値は83兆円ある。なぜ、機関投資家ではなく個人から、7年前の3.5倍もの利回りを払ってまで1兆円を借りたいのか。
株を担保にしても足りない資金需要
SBGは2025年4〜12月期に、保有資産の売却で3兆3000億円、保有資産を担保にした融資で2兆5000億円、つなぎ融資で1兆8000億円、普通社債で9000億円、ハイブリッド社債で5000億円を調達したとされている。
つまり、同社は資産売却や担保融資、無担保社債など取れる手段を全て取った上で資金調達に奔走しているというわけだ。
6月末の保有株式価値では、Arm株を約3.22兆円、子会社ソフトバンク(SBKK)株を約1.20兆円分、株式担保融資に供したほか、T-Mobile株の保有価値はカラー契約(株式先渡売買契約)による調整で実質的にゼロになっている。カラー契約とは「株を売らずに、その株を担保にして巨額の資金を前借りし、新規投資に回す」という財務スキームだ。
なぜここまで投資に注力するのか。その理由は、OpenAIに対する積極的な投資が挙げられる。SBGは、OpenAIに対する累積投資額が将来的に646億ドル(約10兆円)に達する見通しであることを公表している。投資完了後の株式持分比率は約13%となる見込みで、非公表とされているマイクロソフトの保有比率(市場推計約27%)に次ぐ、世界最大級の外部株主の一角になるとみられている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
キオクシア、1カ月で株価が3分の1に下落 世界的な半導体売り、今日の決算はどうなる?
これが「AIバブル崩壊の始まり」と一言で片づけるのは早計だ。今回の値動きは、キオクシア固有の悪材料、世界的なメモリ株売り、そして需給要因という3つの力が重なって効いてきたことにある。
「あの時気付いていれば……」 モンスター社員を面接で見抜く、たった一つの重要質問
彼らは「嘘をついている」わけではない。ゆがんだレンズを通して世界を見ているため、彼らにとって「正しいこと=周囲が悪であること」という構図は、疑いようのない真実として映っているのだ。
「いきなり!ステーキ」、黒字転換も株価40分の1 ブロンコビリーは最高益、何が違うのか?
「いきなり!ステーキ」と「ブロンコビリー」の業績を比較。安さと急拡大を武器に「記憶の割高感」で苦戦した前者と、体験価値と直営・内製化で高収益を保つ後者を対比し、インフレ下での外食経営の明暗を分析する。
ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由
36期連続成長を成し遂げたニトリが、苦境に陥っている。その原因は、似鳥会長の相場観にあるのかもしれない……。

