「指示はなかった」のになぜ不正は起きるのか ニデック報告書から考える「組織の空気」問題の根深さ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(1/3 ページ)
一つの不正を正しても、組織全体の体質が変わらなければ、次の膿が出てくる。ニデックのケースは、組織における根深い問題をわれわれに投げかけているともいえる。
「キレイごとナシ」のマネジメント論
常に目標を達成させる「常勝集団」をつくるために、キラキラしたビジネスtipsは必要ない。組織マネジメントを専門とする横山信弘氏が、本質的なマネジメント論を「キレイごとナシ」で解説する。
著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
「社内論理よりも顧客を第一に考え、品質を最優先にして、運営する体制へと抜本的な意識改革に動いている」
9月4日、ニデックの岸田光哉社長がそう語った。品質に関する不適切行為が850件にのぼるという、衝撃的な調査結果を受けての発言である。それにしても、なぜこのような不正行為が横行してしまったのか。
今回は、ニデックの事例を出発点に、組織の「空気」や「文化」を変えることの難しさについて考えてみたい。
ニデックにおける問題は、海外グループ会社での不適切な会計処理の疑義をきっかけに、内部管理体制の見直しを進める中で発覚した。そして新たに浮き彫りになったのが、850件にも及ぶ「品質不正(品質不適切行為)」である。
これは多くの組織改革の現場で見られるパターンでもある。一つの不正にメスを入れると、その奥から別の不正が顔を出す。膿を出し切ったつもりが、実はまだ奥に膿があったということだ。
だからこそ、一つの不正を正しても、組織全体の体質が変わらなければ、次の膿が出てくる。ニデックのケースは、組織における根深い問題をわれわれに投げかけているともいえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
プルデンシャル生命でまた不祥事……営業自粛の裏で続いた詐取、なぜ「不正」は根絶できないのか
自粛期間中の金銭詐取や情報紛失の連鎖に揺れるプルデンシャル生命。完全歩合制や「スター聖域化」がもたらした組織文化の病理とは。
「あの時気付いていれば……」 モンスター社員を面接で見抜く、たった一つの重要質問
彼らは「嘘をついている」わけではない。ゆがんだレンズを通して世界を見ているため、彼らにとって「正しいこと=周囲が悪であること」という構図は、疑いようのない真実として映っているのだ。
ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由
36期連続成長を成し遂げたニトリが、苦境に陥っている。その原因は、似鳥会長の相場観にあるのかもしれない……。
サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体
今もなお業績を伸ばしているはずのサンリオ株が、前年の最高値から半値近い水準まで売り込まれている。これはなぜだろうか。決算資料や各地の市場動向を詳細に読み解けば、株式市場の評価とは乖離した実態が浮き彫りになる。

