連載
「指示はなかった」のになぜ不正は起きるのか ニデック報告書から考える「組織の空気」問題の根深さ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/3 ページ)
一つの不正を正しても、組織全体の体質が変わらなければ、次の膿が出てくる。ニデックのケースは、組織における根深い問題をわれわれに投げかけているともいえる。
「風通しの良い職場へ」という掛け声は意味がない
厄介なのは、一度不健全な抜け道を知ると、次からも同じ選択肢が頭によぎるようになる。健全な発想で困難にチャレンジする文化と、抜け道で帳尻を合わせる文化は、相容れない。じわじわと入れ替わっていく。そしてある時点から、抜け道に頼ることが「当たり前」になり、誰も疑問を持たなくなるのだ。
健全な組織文化があるところにこそ、健全なイノベーションは宿る。不健全な文化が根付いた組織では、いくら困難な目標を掲げても、行き着く先は抜け道でしかない。
不正が発覚するたびに、多くの企業は「意識改革」や「風通しの良い職場づくり」を掲げる。しかし、そうした掛け声だけで、根付いた空気はそう簡単に変わることはない。
組織の空気とは、日々の目標設定や評価基準、経営陣の一挙手一投足から、社員が無意識に読み取っていくものだ。したがって変えるべきは、掛け声ではなく、目標をどう検証し、どう評価するかという仕組みなのだ。
かなり地道な作業になるが、次の3点が欠かせないと私は考える。
- 目標の達成可能性を、設定段階できちんと検証する仕組みをつくる
- 現場が「言いにくいこと」を上げられる仕組みを、形だけでなく実質的に機能させる
- 経営層自身が、率先して基準や判断を見える化する
一つ一つは地味な取り組みだ。だが、このような積み重ねなくして「空気」は変わらない。制度をどれだけ整えても、長年にわたって培われてきた価値観が変わらなければ、同じことが繰り返されてしまう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
プルデンシャル生命でまた不祥事……営業自粛の裏で続いた詐取、なぜ「不正」は根絶できないのか
自粛期間中の金銭詐取や情報紛失の連鎖に揺れるプルデンシャル生命。完全歩合制や「スター聖域化」がもたらした組織文化の病理とは。
「あの時気付いていれば……」 モンスター社員を面接で見抜く、たった一つの重要質問
彼らは「嘘をついている」わけではない。ゆがんだレンズを通して世界を見ているため、彼らにとって「正しいこと=周囲が悪であること」という構図は、疑いようのない真実として映っているのだ。
ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由
36期連続成長を成し遂げたニトリが、苦境に陥っている。その原因は、似鳥会長の相場観にあるのかもしれない……。
サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体
今もなお業績を伸ばしているはずのサンリオ株が、前年の最高値から半値近い水準まで売り込まれている。これはなぜだろうか。決算資料や各地の市場動向を詳細に読み解けば、株式市場の評価とは乖離した実態が浮き彫りになる。
