ツインバードとバルミューダ、なぜ伸び悩む? 「高くても売れる」家電の難しさ(4/7 ページ)
コロナ禍で需要を取り込み、成長への期待を集めたバルミューダとツインバード。なぜ、その勢いは続かなかったのか。高付加価値化や新規事業、海外展開の現在地から、再成長への課題を探ります。
バルミューダはすでにブランドを確立していた
バルミューダは、ツインバードとは出発点が異なります。扇風機やトースターなどを通じて、デザインや使い心地に価値を感じる顧客の間で、すでにブランドを確立していました。「バルミューダだから選ぶ」という支持を得ていた点が重要です。
例えばトースターなら、焼き上がりへのこだわりで、いつもの朝食を楽しみに変える。機能とデザインが生む満足感を、商品そのものと伝え方の両面から作り上げてきました。ところが、2020年の上場後も新商品を投入してきたものの、近年は会社全体の成長を支える新たな柱を十分に育てられていません。
その中で大きなつまずきとなったのが、スマホ事業でした。2021年11月に「BALMUDA Phone」を発売しましたが、2023年5月には事業終了を発表。発売から約1年半で撤退する結果となりました。
私は、ここにブランドの強みをどこまで広げられるかという判断の難しさがあったと考えています。家電で支持されたデザインや使い心地は、スマホでも価値になり得ます。しかし、通信端末ではアプリとの親和性や処理性能、継続的なソフトウェア対応など、異なる条件を満たす必要があります。
「バルミューダなら支持される」という過信があったかは断定できません。ただ、新たな市場で競争するために何が必要なのか、自社にその能力があるのか、なければ獲得するためにどれだけの時間とコストがかかるのかを、十分に見極めていたかは問われます。ブランドへの期待と、事業を成立させるために必要な能力は、分けて考える必要があったのではないでしょうか。
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