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Salesforce好決算が証明した「SaaSは死なない」 画面を手放し裏側を握る生存戦略(2/5 ページ)

2月、AIの進化により「SaaSの課金モデルが崩壊する」との悲観論が広がり、市場から約1兆ドルが消滅した。だが、米Salesforceが8月に発表した好決算はこの「SaaSの死」論を事実上反証した。席数は減らず、AI企業自身が同社の基盤に依存していることが判明している。同社はAIにユーザー画面(インタフェース)を明け渡す代わりに、裏側の業務データと権限を握ることでSaaSの生き残り策を示した。

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「SaaSの死」への反証 Salesforceの決算が示した事実

 発端は2026年1月30日。AI開発の米Anthropic(アンソロピック)が、営業・財務・法務・人事の業務を扱う11本のプラグインを、自社のエージェント製品「Claude Cowork」向けに公開した。ソフトを買わなくても、AIが業務そのものを処理してみせた形である。

 市場の反応は2月3日に来た。ソフトウェア、金融データ、専門サービスの株式から、1日で約2850億ドルの時価総額が消えた。S&P500のソフトウェア・サービス指数は13%近く下げ、1日の下落率として過去最悪を記録。1週間で被害は約1兆ドルに膨らんだ。米証券Jefferiesのトレーダージェフリー・ファヴッツァ(Jeffrey Favuzza)氏が、これを「SaaSの死」と名付け、そのまま定着した。

 最初に売られたのは、公開されたプラグインが直接狙う法務・専門情報の分野だった。法情報データベースのカナダThomson Reuters(トムソン・ロイター)は過去最大の下落率となる15.8%安、オンライン法務サービスの米LegalZoom(リーガルズーム)は20%近く下げた。

 だが売りは、すぐに業務ソフト全体へ広がる。2月中旬時点の年初来下落率は、Atlassianが50%、会計ソフトの米Intuit(イントゥイット)が34%。ソフトウェア株ETFのIGVは23%下げて弱気相場入りし、ソフトウェア株の株価売上高倍率(PSR)は9倍から6倍へと、2010年代半ば以来の水準まで縮んだ。

 投資家が恐れたのは、AIがソフトを置き換えることではなかった。「ソフトを使う人間の数が減ること」だった。

 SaaSの投資前提は、従業員数の増加にある。席(アカウント)の数だけ課金する以上、人が増えれば収入が増える。だがAIエージェントが1人を3人分の生産性にするなら、企業はライセンスを3分の1しか買わない。AIはソフトを直接殺すのではなく、席を正当化していた人員を減らし、その結果として課金モデルを殺す。米Boston Consulting Group(BCG)の調査では、ソフト支出を削る手段として「席数の削減」を第一に挙げた企業が40%に上った。

 この「AIが席数を減らし、業績を悪化させる」という予測の代表的な矛先となった銘柄が、Salesforceだった。決算発表の当日を迎えた時点で、株価は年初から22%下げていた。

© エクサウィザーズ AI新聞

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