2015年7月27日以前の記事
検索
連載

「優秀だが、嫌なヤツ」はどうすればいい? 日本企業のマネジャーが考えるべき3つの対処法:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/3 ページ)

成績優秀だが、その人がいることによって周囲が萎縮したり、仕事へのやる気を失ってしまう――そんな社員はいないだろうか。簡単に解雇とはいかない日本企業のマネジャーこそ、対処法について考えなくてはならない。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

なぜ許されなくなったのか

 では、なぜ「成果を出せばOK」から「それでもダメだ」へと変わったのか。理由は以下の3つである。

  1. 1人の天才では勝てない時代になった
  2. 心理的安全性が重要視された
  3. 放置した損失が数値化された

 一つ一つ見ていこう。

1人の天才では勝てない時代になった

 現代のビジネスは、以前とは比べものにならないほど複雑になった。1人のスター社員がスタンドプレーで押し切れる領域は確実に狭まっている。

 多様な専門性を持つメンバーが、互いに補い合いながら成果を出す。このスタイルに移行した以上、協調できない人材の価値は相対的に下がっていく。どれだけ個人の数字が高くてもチームを成長に導くことができないからだ。

「心理的安全性」の重要性が証明された

 Googleの研究などによって、チームの生産性を最も高めるのは、メンバーが恐怖を感じず、安心して発言できる環境だということが明らかになった。

 ブリリアント・ジャークは、この環境を真っ先に壊す。誰も反論しなくなり、質問も出なくなる。そのせいか、間違った方向へチームが進んでも、誰も異を唱えることができない。そういうチームができあがってしまうのである。

放置した損失が数値化されたから

 そして決め手になったのがデータだ。

 組織行動学者のウィル・フェルプスらが行った、通称「腐ったリンゴの実験」は有名だ。5〜15人程度のチームに、性格の悪い人、怠け者、周囲を暗くする人のいずれかを1人だけ混ぜる。すると、チーム全体のパフォーマンスが30〜40%も低下したという。恐ろしい事実である。

 注目すべきは、どのタイプであっても結果がほぼ同じだった点だ。攻撃的であろうが、怠け者であろうが、たった1人の存在がチーム全体の生産性を落とす。しかも、そこに離職コストまで加われば、損失はさらに膨らむだろう。「成果を出しているから差し引きプラス」という理屈は、もはや成り立たないのである。

日本企業が、ブリリアントジャークを切れない本当の理由

 ここまで読んで「ならば即座に解雇すればいいじゃないか」と考える人がいるかもしれない。しかし、日本ではそう単純にいかない。

 解雇規制が厳しい日本では、性格や協調性の欠如を理由に解雇することは現実的ではない。Netflixのように「そもそも所属させない」という対処は、そのまま持ち込めないのだ。

 さらに厄介な問題がある。ブリリアント・ジャークは、誰に対しても攻撃的なわけではないという点だ。

 こうした人は、実はチーム内に味方も多い。努力を重ねているから、尊敬を集めていることも珍しくない。「あの人をロールモデルにしています」と語る若手がいたり「あの人が厳しく言ってもらったおかげで成長できた」と感謝する人がいたりする。


ブリリアント・ジャークは往々にして、尊敬されている面もある

 つまり100%の嫌なヤツではないのだ。ただ、嫌な部分が1割程度に過ぎなかったとしても、その1割がチームに与える影響は甚大だ。その上、結果を出しているとマネジャーはその「1割」だけを理由にバッサリ切ることができない。だから決断を先送りし、問題は静かに深刻化していくのである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る