「まず、その業務なくせない?」 野村不動産HDが経理DXで「年間9000時間」を生み出した“引き算”の考え方(2/3 ページ)
DXやAI活用自体が目的となり、具体的な成果になかなか結び付かない企業は少なくない。野村不動産ホールディングスの経理DXを取材すると、DXを進める前の「一呼吸」に、成功の要因があることが見えてきた。
経理の顧客は事業部門の人たち
資金部では、Bill Oneの導入により年間9000時間を生み出した。そこで、これまで事業部門が個別に行っていた請求書処理を、資金部でまとめて引き受ける取り組みを進めている。
部署ごとの発注データを取得し、資金部で会計システム上の部門コードに読み替えることで、各部署が個別に処理する必要を減らしている。現在、資金部ではこうした請求書を月約1000枚処理している。
仲氏は「われわれの顧客は事業部の人たち」と話す。DXによって生まれた時間を、現場の業務を支援するために使うことで、現場の社員が経理処理にかかっていた時間を減らし、本業に集中できるようにする狙いだ。
こうした変化は、経理部門の社員の仕事にも影響を与えているという。定型的な作業から解放されることで心理的な余裕が生まれ、「ほかにできることはないか」と考える機会が増えたという。
ツールがあっても人間関係がなければ聞きにくい
仲氏がグループ全体へのDX展開で重視しているのが、現場とのコミュニケーションだ。
同社では「グループ経理連絡会」を毎月開催している。コロナ禍をきっかけに始まった取り組みで、会計システムや経費精算、会計処理などについて情報を共有するなど、グループ会社との接点を継続的につくっている。
Bill Oneについても、同連絡会で仕組みや活用方法を紹介している。当初は利用していなかったグループ会社からも「便利そうだから使ってみたい」という声が出て、利用会社が増えていったそうだ。
「ツールがあっても人間関係ができていなかったら聞きにくい」と仲氏は話す。毎月顔を合わせ、質問しやすい関係をつくる。チャットツールTeamsには専用チャネルを設け、質問が来たら担当者が反応する。こうした地道なコミュニケーションが、システムを実際に使う現場を支えるという。
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