なぜ中国客半減の逆風でも勝てる? 仏アコー・アジアCEOが明かす「地方ホテル22軒」驚異の再生劇(2/3 ページ)
訪日客4000万人時代を迎える一方、中国客の激減や人手不足に悩む日本のホテル業界。その逆風下で、仏ホテル大手アコーが驚異の快進撃を見せている。旧ダイワロイヤルホテル22軒を一斉リブランドし、不動産を持たない「アセットライト経営」と特定国に依存しない「分散戦略」で地方リゾートを大化けさせた。見過ごされていた地方の価値をいかに見いだしたのか。アコーアジアCEOが明かすグローバル送客の舞台裏。
22ホテル劇的再生の舞台裏とは? 地方の施設に宿る「真の価値」
――アコーは2024年、日本国内の旧ダイワロイヤルホテルを一斉にリブランドしました。開業から2年が経過し、実際の投資回収やパフォーマンスはどうでしょうか。
当初想定していた以上の、極めて優れたパフォーマンスを発揮しています。このプロジェクトに参画した最大の理由は、まだ世界に知られていない地方の真の価値を見いだし、グローバルな観光目的地として再生させたかったからです。
大都市の中心部だけでなく、これまでインターナショナルホテルブランドが届いていなかった地方にこそ、素晴らしい文化や自然が眠っています。単にホテルの軒数を増やすという規模の拡大が目的ではありません。地方ならではの豊かな体験を、当社のグローバルなロイヤルティメンバー(会員)に届けること、そして同時に、日本国内の顧客にとっても身近で魅力的なリゾートを提供することが本質的な狙いでした。
現在、国内外から非常に高い支持をいただき、地域社会と深くつながるという当初の目標は素晴らしい形で実現しつつあります。今後も地域に寄り添いながら、共に持続可能な成長を続けていきたいと考えています。
――目標を達成できた要因は何でしょうか。
もちろん、日々の数字や利益を細かく厳密に管理しながら、目標を達成できたという実務的な面もあります。ただ最大の要因は「国際的なブランドを地方のロケーションにしっかりと露出させたこと」があり、それによって「ブランド認知度」がこの2年間で劇的に向上したことにあります。
もともと日本に存在しなかった「グランドメルキュール」というブランドを、新たに導入し、一斉にオープンしました。それによって、これまでアコーのホテルが存在しなかった地方エリアに、大きなタッチポイントができました。
新たな接点が生まれたことで、当社のホテルに泊まったことがなかった新しい顧客層や、インバウンドの顧客を、地方に直接呼び込むことに成功したのです。数年経った今、非常に良い成果を出せたと感じています。
ただ、まだまだ上を目指せます。この22軒が目指すのは、国内外の顧客に選ばれ、愛されるホテルになることです。グランドメルキュールとメルキュールのブランドコンセプトを体現した、地域の魅力を訴求するユニークな体験価値を提供し、日本と世界をつなぐ旅の拠点を築いていきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
預金3000万円でプラチナカード無料 三菱UFJ「50兆円の富裕層囲い込み」に透ける焦り
三菱UFJ銀行が預かり資産3000万円以上の顧客を対象に、年会費無料のプラチナカードを提供する新会員組織を発表した。対象は顧客の2%ながら、個人預金の半分にあたる50兆円を占める層だ。「金利のある世界」の復活で預金の収益性が高まる中、一見攻めに見える大盤振る舞いの真の狙いは、親の世代交代に伴いネット銀行へ流れ出す「50兆円の相続流出」の防衛だ。メガバンク首位が仕掛けるLTV重視の防衛戦略の裏側に迫る。
年会費16万5000円を「据え置いた」AMEX プラチナが売る"体験"の裏に「年500万円」の顧客選別
アメリカン・エキスプレスは、「プラチナ・カード」の年会費16万5000円を据え置き、特典を刷新した。競合の「安いプラチナ」が乱立する中、本家は価格競争を拒み、「体験の総量」で勝負を仕掛ける。しかし華やかな拡充の裏には、旅行保険の自動付帯廃止や、最大特典の獲得に「年500万円の決済」を義務付ける防衛線が潜む。高額利用層だけを絞り込む「顧客選別」とは――。
会員数「1億人超え」 欧州最大ホテルチェーンが日本で仕掛ける“脱中国人依存”の戦略
欧州最大のホテルグループである仏アコーが、日本をアジアの最重要市場と位置付け、積極的にビジネスを展開している。2028年には最高級ブランド「ラッフルズ東京」が上陸するなど、攻めの姿勢を崩さない。日本事業を統括するアコージャパンのディーン・ダニエルズ社長に、日本市場戦略の展望を聞いた。
「年間決済600万円」でも客は離れない ANAアメックス“強気な値上げ”に隠された富裕層囲い込みの勝算
ANAとアメックスが17年ぶりに提携カードを全面刷新し、最大24万マイル超の異次元還元キャンペーンを打ち出した。一方で、年会費の大幅引き上げに加え、ボーナスマイル獲得には「年間400万〜600万円以上」という高い決済ハードルを設定。円安・物価高の逆風下で、両社はなぜあえて“顧客を選別”するハイエンド路線へ舵を切ったのか。調査データから浮き彫りになった富裕層の旺盛な旅行熱と、プライシング戦略に迫る。
6500室を一斉開業 欧州最大ホテルチェーン幹部に聞く「国内リゾート進出の狙い」
6471室を一斉開業する欧州最大ホテルチェーン 「投資は回収できる」と自信のワケ
日本に商機を見いだした欧州最大のホテル運営、仏アコーは2024年4月1日、日本初上陸となる「グランドメルキュール」12軒と、東京・銀座などで展開している「メルキュール」11軒の計23軒、6471室を一斉開業させる。CEOへのインタビューから日本を“狙い撃ち”した理由や、市場攻略のカギに迫った。
6500室を一斉開業 欧州最大ホテルチェーンが日本を“狙い撃ち”した理由
欧州最大のホテルチェーン仏アコーは2024年春、計23軒のホテルで6500室以上を一斉開業させる。これだけの数を一気に開業させる理由は何か? アコージャパンのディーン・ダニエルズ社長に狙いを聞いた。
販売初日に予約完売 帝国ホテル「サービスアパートメント」事業の開発責任者に狙いを聞いた
帝国ホテルがコロナ禍でのテレワーク需要を先取りして、客室を長期間貸し出す「サービスアパートメント」事業を発表した。販売初日で予約が満室になるなど、人気を博している。この事業に企画段階からかかわってきた小池崇裕企画部課長に、狙いと今後の展開をインタビューした。

