なぜ中国客半減の逆風でも勝てる? 仏アコー・アジアCEOが明かす「地方ホテル22軒」驚異の再生劇(1/3 ページ)
訪日客4000万人時代を迎える一方、中国客の激減や人手不足に悩む日本のホテル業界。その逆風下で、仏ホテル大手アコーが驚異の快進撃を見せている。旧ダイワロイヤルホテル22軒を一斉リブランドし、不動産を持たない「アセットライト経営」と特定国に依存しない「分散戦略」で地方リゾートを大化けさせた。見過ごされていた地方の価値をいかに見いだしたのか。アコーアジアCEOが明かすグローバル送客の舞台裏。
2024年4月、ホテル大手の仏アコーが、旧ダイワロイヤルホテルを「グランドメルキュール」「メルキュール」として一斉リブランドした。全国22軒の地方リゾートホテルが、グローバルブランドのもと新たなホテルへと生まれ変わった形だ。一斉開業から約2年、それぞれの地域の魅力を生かしながら、新たな宿泊体験や価値を生み出している。
現在は国内で10ブランド45軒、約1万室を運営。今後は最高級ブランド「ラッフルズ」の日本初進出や「プルマン東京銀座」の開業も控える。
日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4268万3600人となり、初めて4000万人を超えた。インバウンド消費額も前年比16.4%増の9兆4559億円と過去最高を更新している。ただし市場の内訳は一様ではない。国・地域別で最多の韓国が945万人に達する一方、中国は2025年12月の単月で前年同月から半減に近い落ち込みとなった。
インバウンド急増の陰で、日本のホテル業界は中国客依存の反動や人手不足に悩む。そんな中、なぜアコーは国内では無名に等しかったブランドで地方を埋め尽くし、わずか2年でV字回復を果たせたのか。
世界110カ国以上で5800軒を展開し、不動産を自ら持たない「アセットライト経営」で世界を席巻する同社。東南アジア・日本・韓国・インドを統括するアコーアジアCEOのガース・シモンズ氏にインタビューした。地方ホテルにグローバルな送客を実現した方法論に迫る。
特定市場に依存しない「分散戦略」 地方ホテルは絶好調
――日本は現在、過去最高のインバウンド数を記録しています。日本市場の現状をどのように見ていますか。
極めて力強く、非常に好調な状況だと考えており、この勢いは今後も続くと予想しています。日本は依然として、アジアや東南アジアの人々にとって、旅行意欲をかき立てる目的地であり続けています。日本市場のポテンシャルには非常に期待しています。
直近の動向を見ると、大都市圏のパフォーマンスは、急激だったリバウンド需要が落ち着き、安定した成長期に入ったため緩やかになっています。しかし、これは市場の健全なサイクルであり、懸念はしていません。一方、2024年にリブランドした22ホテルのポートフォリオを含む地方の目的地は、旅行者の「地方分散」の波に乗り、現在極めて好調です。
そのため、日本の観光産業については非常にポジティブに捉えており、今後も成長し続けると確信しています。日本は引き続き、世界中から最も注目される旅行先の一つであり続けています。
――2025年11月、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言をきっかけに、日中関係が緊張しました。中国からの旅行客は減少しているのでしょうか。
政治的な影響については公になっている通り、現在いくつかの要因が絡んでいることは承知しています。しかし、適切なタイミングで中国市場が再び戻ってくることを期待しています。
一部エリアのホテルにおいて部分的な影響は受けているものの、ポートフォリオ全体で見れば、特定の国や市場に過度に依存しない仕組みができています。そのため、仮に中国市場の回復に波があったとしても、好調な国内レジャー需要に加え、韓国、東南アジア、そして近年急成長しているインドといった多様な地域からの送客がその分をしっかりとカバーし、全体として非常に健全なバランスを保っています。
これからの10年間で、インド市場は日本にとって真のゲームチェンジャーになると思います。
韓国最大の外資系ホテル事業者に 日韓の人流は双方向へ
――今、宿泊客としてのインバウンド客は具体的にどの国から来る顧客が多いのでしょうか。何か目立つ傾向はありますか。
韓国からの顧客はやはり非常に多いですね。あとは東南アジア全体、特にインドネシア市場が極めて強い傾向にあります。
――韓国からの顧客が多い現状について、どのように分析していますか。
「距離の近さ」が一番の理由だと思います。また、日本と韓国では文化が違うため、その違いや新しい文化を体験したいモチベーションを持つ顧客が多いのだと感じます。
この流れは、逆方向でも起きており、日本から韓国に向かう渡航者も非常に増えています。両国間での活発な双方向の人流が確立されていることが、高い稼働率を支える大きな要因です。K-POPが好きな日本の若者たちの多くが、韓国を訪れていると聞きました。
――韓国では、アコーグループはかなり大きなビジネスを展開しているのでしょうか。どのような状況か、特徴があれば教えてください。
実は、韓国における最大のインターナショナルホテルオペレーターは、当社です。メルキュールだけでなく、Mギャラリー、イビス、ノボテルなど幅広いブランドを展開しています。日本と比較すると、ラグジュアリーブランドの展開は韓国の方が少し先行している特徴もあります。
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