人間より「PC作業がうまい」AI機能がリリース OpenAI「Dots」が変えるデバイスの未来(1/3 ページ)
米OpenAIが開発するパーソナルAI「Dots」のPC操作能力が、平均的な人間を上回るレベルへ進化した。クラウド上の仮想PCで稼働し、画面の裏側にあるデータ構造まで解析して高速処理する。操作主体が人間からAIへ移ることで、手元のPCは処理能力よりも低価格な薄型端末(シンクライアント)へシフトする可能性が高い。同社が著名デザイナーらと開発中の「新AI端末」の設計にも影響を与えそうだ。
米OpenAI(オープンAI)のエンジニアが人気ポッドキャスト「Latent Space」に登場し、新しいパーソナルAI「Dots」のコンピューター操作(computer use)機能について説明した。そこで示されたのは、AIが人間よりPCを上手に使い始めているという現状だ。
「人間より速い」PC操作AIの進化
computer useとは、AIエージェントが人間に代わってPCを操作する技術だ。Webサイトを開き、ボタンを押し、フォームに入力し、必要な情報を探す。これまで人間がマウスやキーボードを使ってしてきた作業を、AIが代行する。
computer useには、ユーザー自身のPCをAIに操作させる方式もある。一方、Dotsでは各エージェントにクラウド上のLinux仮想コンピュータが与えられる。AIはその中でブラウザだけでなく、デスクトップアプリも操作できる。
これまでcomputer useには、途中で操作に失敗したり、処理に時間がかかったりする問題があった。ところがOpenAIでcomputer use agentsのプロダクト・エンジニアリングを率いるアリ・ワインスタイン(Ari Weinstein)氏によると、この数カ月で性能が大きく向上したという。
同氏は現在のDotsのcomputer useについて「おそらく多くの場合、平均的な人間より速くタスクを完了できる」と語っている。同氏は、食材の量まで細かく指定できる宅配食サービスを例に挙げた。何食分もの注文内容を細かく設定する作業は、自分でやると約2時間かかった一方、computer useでは15分で終わったという。次の目標は、熟練したコンピュータユーザーと同等か、それ以上の速度でソフトウェアを操作することだという。
AIが人間よりも“優位”な2つの要素
だが、AIが人間より優位なのは速さだけではない。
人間なら「クリックする、待つ、画面を見る、次をクリックする」と順番に進めるところを、Dotsは必要に応じてJavaScriptを書き、一連の操作をまとめて実行する。さらにOpenAIの新しいAPIでは、あるツールの処理が終わるのを待たずに、別の処理を進める仕組みも導入されている。
さらにDotsには、人間にはないもう一つの強みがある。
「Appshot」という仕組みでは、Dotsが受け取るのは画面の画像だけではない。アプリやWebページの内部構造も一緒に渡される。
例えば人間がWebサイトを見ても、画面上に表示された文字の裏側に設定されているリンク先URLまでは見えない。しかしDotsには、その情報まで渡すことができる。カレンダーで画面上では途中までしか表示されていない予定名なども取得できるのだ。
© エクサウィザーズ AI新聞
関連記事
請求書は青天井 Microsoftトップが「AIモデル大手に主導権を渡すな」と叫ぶ真意
MicrosoftのナデラCEOらが相次いで「AIモデル大手に主導権を渡すな」と叫び、波紋を広げている。企業の独自ノウハウが汎用モデルに吸収されるリスクや、AIエージェント化に伴う「青天井の請求書」への恐怖が背景にある。しかし、脱モデル依存を煽る2大巨頭の正論の裏には、自社プラットフォームへ顧客を囲い込もうとする思惑も透けて見える。エンタープライズAIの最新の地政学を考える。
「学歴は無価値に」 米トップエンジニアが明かす、AI時代に“大化けする人材”の共通点
「履歴書の時代は終わった」──AIの普及によって、企業の採用や人材評価のルールが大きく変わり始めている。
売上高93%増のPalantirが独走 AI競争の主戦場「制御層」を奪い合う3陣営
AI競争の焦点はモデル性能から、企業の業務・データ・権限を管理しAIを現場で動かす「コントロールプレーン」(制御層)へと移った。20年前から「オントロジー」(業務の地図)を蓄積してきた米Palantir Technologiesは第2四半期決算で売上高93%増と異次元の成長を記録。この独壇場に対し、米Snowflakeなどのデータ陣営、Amazon Web Servicesなどのクラウド陣営、米OpenAIなどのモデル陣営が参入し「法人AIの覇権」を巡る最終戦争が始まった。
中国は敵ではない NVIDIAトップが警告する「米中共存」とAIインフラの盲点
米NVIDIAのジェンセン・フアンCEOは、中国をAIの脅威とみなして封じ込めようとする米国の現在の政策姿勢に、真っ向から異を唱えた。「中国を敵に仕立て上げることは最善の答えではない、彼らと対話することが最も安全な道だ」という。「競争相手と敵は違う」というファン氏のこの一言が、議論の出発点だ。
人間は「取締役」、AIが「CEO」 サム・アルトマンがAGI論争を終了させてまで語りたかった「ASI」の未来図
「AGI」(汎用人工知能)は、気付かないうちに到達してしまった――だから次はASI(超知能)の定義を決めよう」。米OpenAIのサム・アルトマンCEOは、AGIをめぐる終わりのない論争に決着をつけるかのような提案をしている。宣言を急ぐ裏には、Microsoftとの間に抱える“巨額契約の時限爆弾”があった。AIがCEOになる」衝撃の未来図とは?
「人間がコードを書く時代は終わった」 “Claude Code”が引き起こす「知能の価格崩壊」
AIがソフトウェアを書く時代が、いよいよ本格的に始まりつつある。「GitHub」の公開コミットの約4%が、米AnthropicのAIエージェント「Claude Code」によって書かれていて、2026年末には20%以上に達するという。この変化は、単なる「AIコーディングツール」の普及ではない。PCの使い方そのものが変わり始めている。
AIによる“社会崩壊”まで残り3年 トップ識者が警告する「地獄のシナリオ」
AIがもたらす生産性の爆発は、最終的には人類に豊かさをもたらす可能性がある。しかしその途中には、社会が崩壊しかねない危険な移行期があるという。
AI競争は「Googleの圧勝」で終わるのか? Gemini 2.5 Proの衝撃
米国のテック系人気ユーチューバーの何人かが、こぞって「AI開発競争はGoogleが勝利した」という見出しの動画をアップしている。これでGoogleの勝利が決定したのかどうか分からないが、少なくともOpenAIの首位独走の時代は終わったのかもしれない。
