「kintoneの対抗馬」か――ラクス「ASURACORE」が“売り上げ1000億円”を狙えるワケ(3/3 ページ)
ラクスが新サービス「ASURACORE」を発表した。AIと専門ディレクターが自社専用システムを作り、運用まで引き受ける仕組みだ。受託開発とSaaSの間に「第3の選択肢」を投じる狙いとは。
SIerとは「共存共栄」 1000億円を目指す2つの条件とは
ASURACOREを顧客に広げる担い手として、ラクスが頼るのはSIerだ。「SIerの市場に殴り込むのか?」と問われた中村氏は「殴り込むのはちょっと違う」と笑い、SIerとは共存共栄していくと答えた。要件定義ができる人材はSIerの中にいるため、協業は欠かせない。ディレクターも自社で抱え込むのではなく、パートナーのSIerと連携して増やすので「必ずしも労働集約型にはならない」という。
とはいえSIerから見れば、AIの開発ツールで自らシステムを作ってもASURACOREを使っても、やることは同じになるのではないか。本松氏はASURACOREを使う利点を2つ挙げる。1つは、従来のSIより少ない工数で構築できる上に、高い収益性を確保できること。もう1つは、ラクスがマス広告で認知を広げ、SIerに相談が入る入り口を作ることだ。
最初に狙うのは、経営者がその場で導入を決められる中小企業だ。楽楽販売を検討したものの導入しなかった企業と重なると本松氏はみる。作れるのは部品がある領域に限られ、まずはバックオフィスと営業管理から入る。2027年1月に顧客への提案を始め、4月に正式販売とパートナー展開に入る予定だ。
ノーコードで業務アプリを作る市場は、すでに小さくない。サイボウズによると、kintoneの2025年12月期の売上高は約217億円で前年から33.9%伸び、国内の契約企業は3万9000社を超えた(※)。パートナー候補のSIerには、すでにkintoneを扱う企業も少なくない。
ラクスはASURACOREで、2029年3月期にARR(年間経常収益)10億円、中期には単体で売り上げ1000億円を目指す。この目標に近づく条件は2つある。
1つは、kintoneなど既存のノーコードツールと比べてASURACOREを選ぶ理由を、SIerに工数と値付けの差で示すこと。もう1つは、提携先と組んで部品を増やし、作れる範囲を楽楽クラウドの外へ広げることだ。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・FintechとAIを取材するジャーナリスト。アイティメディアでテクノロジー媒体とビジネス媒体の創刊編集長、取締役を歴任し、2023年に独立。技術と事業の両方の現場を見てきた経験から、AIや金融サービスを経営視点で取材する。会社四季報では上場企業の業績取材も手掛ける。
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