なぜGoogleは、OpenAIとAnthropicに勝てないのか? 「世界最大の計算資源」の使い道(2/3 ページ)
米Googleは次世代AIモデル「Gemini 4 Argon」を発表したが、第三者評価で米Anthropicや米OpenAIの後塵を拝した。Googleは世界のAI計算資源の約4分の1を握る最大手でありながら、なぜ首位に立てないのか。背景には、外部販売で稼ぐクラウド部門、検索部門、AI開発のDeepMindによる熾烈な「チップ争奪戦」がある。競合に計算資源を売る方が儲かるという経営の現実と組織力学の歪みを解き明かす。
社内で激化する「チップの奪い合い」
社内での計算資源の奪い合いは、これまでも報道で伝えられてきた。
米ブルームバーグ通信は5月、Googleの研究者が自社の計算資源を使うために順番待ちを強いられていると報じた。当時Googleの研究者だったアンドリュー・ダイ(Andrew Dai)氏は、あるときGeminiの弱点に気付いたが、画像を理解する能力の研究に必要な計算資源を社内で確保できないと判断し、会社を去ったという。Googleは報道内容に反論せず、計算資源の制約は業界全体の問題だと説明した。
ロイター通信は8月、Google Cloudの幹部らが、自社開発のAI用半導体「TPU」の配分をめぐるDeepMindとの対立が、コーライ・カヴクチュオール(Koray Kavukcuoglu)氏のDeepMindトップ就任で和らぐと期待していると報じた。
カヴクチュオール氏は8月の組織改編で、ハサビス氏の後を継いだ人物だ。同通信は、計算能力の制約やGeminiにおける複数の責任者の意見対立によって、コーディングなど重要な分野に回る資源が減ったとも伝えている。
米ビジネスニュースサイトのビジネス・インサイダーは9月、Geminiの開発チームでさえ計算資源の確保は難しく、正式な申請と上級幹部の承認が必要だと報じた。他チームのチップを使わせてもらう見返りに、そのチームの製品向けにGeminiの機能を開発する取引もあるという。最後の手段は、共同創業者のセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏に直接頼み込むことだとしている。
最新の証言は、物理学者でAI投資家、人気ポッドキャスト「Moonshots」の共同ホストを務めるアレクサンダー・ウィスナー=グロス(Alexander Wissner-Gross)氏のものだ。同氏は10月3日公開の同番組で、Argonが首位に届かなかった背景に、社内の計算資源争奪があると指摘し「Googleなら世界中の計算資源を持っていて、最先端の開発競争に勝てると思うだろう。だが、そうではない」と語った。
同氏は社内関係者の証言として、三者が激しく奪い合っていると説明した。外部の企業に計算資源を売りたいGoogle Cloud、検索と広告のために社内で計算資源を必要とする検索・広告部門、そしてモデルの学習と運用に計算資源を必要とするDeepMindだ。同氏の話が正しければ、8月の組織改編から2カ月近くたっても、奪い合いは収まっていないことになる。
© エクサウィザーズ AI新聞
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