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「6億台のコネクテッドカー」動かす光技術 IOWNは欧州のデータセンター危機を救うか?(4/4 ページ)

生成AIの需要爆発で欧州データセンターの空き容量が逼迫する中、NTTが提唱する次世代光技術「IOWN」が脚光を浴びている。電力危機を打破する切り札として期待が高まる光通信革命の最前線を、オランダ現地取材から追う。

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データ主権を死守せよ ソブリンAIが生むIOWNへの追い風

 欧州を突き動かすもうひとつの動きが、域内のデータ主権を守る「ソブリンAI」への期待だ。「大量の電力を消費するAIの学習では米国のハイパースケーラーに勝ち目はないが、ユーザーに近い立地が求められるAIの推論なら欧州のデータセンター事業者にも勝算がある」とグローブ氏は指摘し、そうした推論環境の分散化を可能にする技術として、IOWNに大きな期待を寄せている。

 FUTURESのパネル討論でもソブリンAIが最大の話題となった。米Accenture(アクセンチュア)でチーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)を務めるジェファーソン・ワング氏は、NTTと台湾の中華電信が約3000キロ離れた東京・台北間をAPNで結び、遅延なくデータを分散処理している事例を提示し「ソブリンAI確立の鍵はGPUの計算基盤とデータストレージを別の拠点へ切り離す『デカップリング』にある」と強調した。

 Ericssonの光技術エキスパートであるステファン・レサー氏も「ソブリンAIへの要請が、欧州のデータセンター需要を明らかに押し上げている。AI需要が高まる前に、IOWN Global ForumがAIのリモート処理を可能にする光通信技術の推進に取り組んだことは、極めてタイミングが良かった」と今後の貢献を期待する。

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Ericssonの光技術専門家、ステファン・レサー氏

自動車や鉱業、農業、医療などにも 「フィジカルAI」経済圏の胎動

 IOWN Global Forumの年次総会や中間会議は主要なメンバー企業がフォーラムの参加者を自国に招き、ホストする例が多かったが、今回の中間会議では特にそういった企業の存在は見当たらなかった。

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Astrape Networksの通信機器を紹介するマルコ・カミリCTO

 しかし次世代ネットワーク技術を研究するアイルランドの「CONNECT Centre」や、オランダに拠点を置くデータセンター向けの光通信技術会社、Astrape Networks(アストラぺ・ネットワークス)が会場に展示ブースを構えるなど、欧州の新たな企業や団体がフォーラムに参加していたのが印象的だった。Astrape Networks でCTOを務めるマルコ・カミリ氏は「今回初めてブースを構えた」と語り、IOWN Global Forumへの参画に意欲を見せる。

 オランダには医療機器大手のPhilips(フィリップス)の本社もある。医療機器分野へのIOWNの活用を提案すべく、IOWN Global Forumの幹部が同社を訪問するなど、新たに医療分野へのアプローチも始まった。IOWNの技術を従来のネットワーク分野からフィジカルAIの分野に広げるには、格好の中間会議となったといえそうだ。

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ソブリンAIについて議論を交わしたFUTURESのパネル討論。右から2人目が米Accenture(アクセンチュア)でチーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)を務めるジェファーソン・ワング氏

著者情報:関口和一(せきぐち・わいち)

(株)MM総研理事長、国際大学GLOCOM客員教授

1982年一橋大学法学部卒、日本経済新聞社入社。1988年フルブライト研究員としてハーバード大学留学。1989年英文日経キャップ。1990年ワシントン支局特派員。産業部電機担当キャップを経て、1996年より編集委員を24年間務めた。2000年から15年間、論説委員として情報通信分野などの社説を執筆。日経主催の「世界デジタルサミット」「世界経営者会議」のコーディネーターを25年近く務めた。2019年株式会社MM総研の代表取締役所長に就任。2026年3月よりMM総研理事長を務める。2008年より国際大学GLOCOMの客員教授。この間、法政大学ビジネススクールで15年、東京大学大学院で4年、客員教授を務めた。NHK国際放送のコメンテーターやBSテレビ東京の番組のメインキャスターも兼務した。現在は「CEATEC AWARD」の審査委員長や、「技術経営イノベーション大賞」「ジャパン・ツーリズム・アワード」の審査員などを務める。著書に『NTT 2030年世界戦略』『パソコン革命の旗手たち』『情報探索術』(以上日本経済新聞)、共著に『未来を創る情報通信政策』(NTT出版)、『日本の未来について話そう』(小学館)『新 入門・日本経済』(有斐閣)などがある。

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