60代職人がExcelと格闘して計画策定――ヤンマー建機、作業時間を半減させた「100点を目指さないAI活用」の全て(2/3 ページ)
ヤンマー建機は生成AIとデータ基盤を活用して、職人の「勘と経験」に頼っていた生産計画の作成時間を半減させた。暗黙知の継承と属人化解消を実現した同社のDXに迫る。
職人の指摘でAIを育てる「職人 in the Loop」の3ステップ
同社は、生成AIとデータ基盤の活用によってこの課題の解決に乗り出した。ウイングアーク1stが提供するAIプラットフォーム「dejiren AI」、データマネジメント基盤「Dr.Sum」、AI機能を備えたBIツール「MotionBoard」を使い、職人の勘と経験をAIと融合させる3ステップを構築している。
ステップ1は「事前準備」だ。職人へのヒアリングを重ね、引き出した約10個のルールや制約条件をRAG(検索拡張生成)やプロンプトに組み込んだ。
「職人は口下手で言語化が得意ではないため、全てをヒアリングできたわけではありません。しかし、まずはできる範囲で職人の言葉をAIに読み込ませることから始めました」(下川氏)
ステップ2は「AIによる自動並び替え」だ。計画を立てたい日付を指定すると、AIエージェントが2〜3分で生産順序の素案を出力する仕組みを構築した。
そして運用の要となるのが、ステップ3の「職人による手仕上げとフィードバック」だ。職人はBIツール上でAIの提案を確認し、ドラッグ&ドロップで最終調整を実施する。さらに、生成AIの間違いや改善点を職人がコメントで指摘し、AIへフィードバックすることで精度向上につなげている。
ポイントは「職人はゼロからルールを語ることは苦手でも、間違いを指摘することは得意」という気付きだったという。
「職人たちは言語化がうまくはありませんが、指摘はできます。指摘を繰り返すことで、どんどんAIを賢くする。われわれはこの仕組みを『職人 in the Loop』と呼んでいます」(田中氏)
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