FDEは「スーパーマンと思われがちだが……」 脱・人月モデルで期待大、AI時代の“花形職種”の実像は?(2/2 ページ)
AI時代にエンジニアの花形として注目される「FDE」は、従来型SEと何が違うのか。FDEは、スーパーマンなのだろうか。IT業界が生み出した“新たな職種”の実像に迫る。
FDEは、現場で得た知見を自社製品にフィードバックし、より良いソフトウェアやサービスを提供することで、その利用料で稼ぐ。
山下氏は先例として、世界有数の航空機用エンジンメーカーである英Rolls-Royce Holdings を挙げる。同社は、航空機エンジンを売り切るのではなく、飛行時間に応じて課金する形にビジネスモデルを改めた。いまや民間航空部門における売り上げの6割超をこのサービス収入が占めるという。
FDEは、一からコードを書くのではなく、既存の機能を組み合わせてまず動くものを作る。顧客の業務現場で試作品を使ってもらい、反応を見て作り直す。その短いサイクルを、当初は1〜2人の少人数で回す。山下氏が取材した元パランティアのFDEは「仕事の80%は、顧客企業の中にある暗黙知を探し出し、表に出すことだと思う」と語ったという。
FDEは“スーパーマン”なのか?
山下氏は、FDEが成果を生む条件として「個人の資質」「チームワーク」「組織」「影響力の段階的な行使」(小さな成果を見せながら関与を広げること)の4つを挙げた。FDE個人に求められる資質は「知覚力」「コミュニケーション力」「やり抜く力」など7つあるという。
山下氏が取材した元パランティアの社員は「FDEはスーパーマンだと思われがちですが、実際にはそうではありません」とコメントしたという。高い技術力を持っていたとしても、全てを備えた個人はいない。チームで補い合える組織が強いと同氏はみている。
山下氏は「AIによって汎用(はんよう)的なものは誰でも作れるようになった。だからこそ、顧客の困りごとに合ったものを作るには、しつこく粘り強く入り込む執念や胆力が求められている」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「FDE」は常駐SEのすげ替えなのか “人月商売の死”を打破したい国内SIer、打開策は意外なところに?
高性能AIの登場によって“人月商売の死”が叫ばれる中、大手SIerが「FDE」の実装に力を入れている。一部では「常駐SEの言い換えに過ぎない」という指摘がある中、SIerは勝機をどこに見いだせば良いのか。
富士通が認めた「人月モデル」の限界 時田社長「労働集約型SIモデルからの転換を」
富士通が「中長期経営ビジョン2035」を発表した。AI時代に突入した今、同社の時田隆仁社長CEOは、従来型の「人月モデル」には限界があると認めた。その真意とは。
NEC森田社長が語る「脱・人月商売」の行方 組織の壁を破るAI人材育成法
NECはAI時代に、いかにして稼いでいくのか。「BluStellar」(ブルーステラ)の収益構造、防衛・安全保障や海底ケーブルといった注力領域の戦略について、森田隆之社長がグループインタビューで語った。
AIが破壊するIT業界の“人月商売” 「SIerの死」後に“生き残る者”の正体
米Anthropicの機能発表で約8300億ドルの時価総額が消し飛んだ「AIショック」。画面の使いやすさで稼いできたSaaSや、時間と人数を積み上げるSIerの「人月商売」が崩壊の危機に直面している。だが、業界ルールにのっとった複雑な計算(ビジネスロジック)を握る企業は依然として強い。真の構造変化はどこで起きているのか。AIに仕事を任せるための「安全管理」の難所と、「現場派遣型エンジニア」(FDE)の正体に迫る。
「下積み20年やれと?」──生成AI活用、若手が投げかけた問い 社長の答えは?
「今から僕たち若者に、下積みを10年20年やれっていうことですか」──三菱マテリアルITソリューションズ社長の板野則弘氏は、年次の浅い社員からこう問いかけられたという。AI活用が“当たり前”の若手世代。人材育成について、企業がどのように考えるべきなのか。

