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「遅延なきネットワーク」ソブリンAIの鍵に NTT川添氏が語る「IOWN」実装後の社会(2/2 ページ)

次世代光通信技術「IOWN」が、机上の概念検証(PoC)を越え現実空間を動かす「フィジカルAI」の実装フェーズへ突入した。オランダでの年次中間会議を受け、NTTの川添雄彦氏にインタビューした。米中テックに対抗し主権を守る「ソブリンAI」の基盤としての勝算など、光インフラの現在地と社会実装の展望を聞く。

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米中データ寡占への「防波堤」 欧州がIOWNに求めたソブリンAI

――今回の中間会議では「ソブリンAI」が大きな議論となりました。

 大規模な生成AI技術をリードしているのは米国と中国です。米国はクローズドモデル、中国はオープンモデルを採用していますが、いずれもデータはインターネットに依存しています。そして最近、AIを開発している米国の有力企業自身から、AIの進化について危機感が提示されました。

 欧州や日本には、守らなければならないその地域特有の産業や文化があります。そうした重要な情報を守るのがソブリンAIであり、それを実現するには汎用のインターネットではなく、IOWNのAPN(オール・フォトニクス・ネットワーク)のような超高速ネットワークが必要なのです。

――今回の中間会議はなぜオランダのアムステルダムで開催したのでしょう。

 今回は仏通信大手のオレンジや英国のBTなどの通信事業者が、積極的に参加してくれました。最初は単なる光ファイバー技術の延長にしか思っていなかったのかもしれませんが、欧州でソブリンAIへの関心が高まり、新しい情報通信インフラとしてのIOWNの重要性に気付いてもらえたからだと思います。

 前回の年次総会はオーストラリアのシドニーで開きましたが、あえてメンバーのいないところで開くことでIOWNを広めていこうというのが私たちの狙いです。オランダには医療機器大手のPhilips(フィリップス)がありますが、医療機器分野にもIOWNの活用を働きかけていきたいと考えています。

フィジカルAIが拓く人命救助と無人化の未来

――今回の議論では「フィジカルAI」にも高い関心が集まりましたね。

 チリの国営銅公社、CODELCO(コデルコ)が運営する銅鉱山でNTTグループがIOWNを使って重機の遠隔操作や監視をする実証を始めた事例が発表されました。多くの参加者が現実世界でのIOWNの新しい可能性を感じ取ってくれたと思います。

 鉱山では多くの人身事故が起きており、作業の生産性や安全性を高めていくには超高速ネットワークを使って遠隔操作や遠隔監視をする必要があります。それには遅延のないAPNのようなネットワークが必要です。将来的には人間を介さず、AIやロボットでそうした危険な作業をできる環境づくりを進めていきたいと考えています。

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IOWN Global Forum会長を務める川添NTTチーフエグゼクティブフェロー

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