「英語が話せればいいわけじゃない」 第一三共が「未来の経営層」を育てるために“少数精鋭”の大学で教えていること(2/3 ページ)
製薬大手の第一三共が立ち上げたグローバルリーダー育成プログラム「DS Academy」。「英語が話せればいいというものではない」と語る同校校長の小川晃司氏に、真のグローバル人材を育てる仕組みと狙いを聞いた。
約30人が地域・部門を越えて経営課題を議論
DS Academyの参加者は、1クラス約30人。日本、米国、欧州などの各地域から、研究、開発、生産、営業、コーポレート部門といった異なる部門の人材が集う。使用する言語は英語だ。対象者は現在、部長クラスを含む上位層と、その下の階層の2つに分けている。
参加者は各部門からの推薦をもとに、これまでの実績や経験、今後の成長可能性、本人の意欲などを総合的に考慮して選定しているという。
受講期間は2年で、プログラムは対面セッションとオンラインでのグループワークを組み合わせて進める。対面で集まる機会は1サイクルにつき2〜3回程度で、その間もチームごとに議論を続ける。オンラインでの活動は少なくとも月1回実施し、最終的にはチームで選んだ経営課題について解決策を提案する。
講師は、グループ経営の戦略や方針を議論する「グローバル経営会議」のメンバーや社内のシニア層に加え、社外のパートナーも招く。プログラムの内容も、既存のリーダーシップ研修をそのまま導入するのではなく、第一三共の事業や実際の経営課題に基づいて設計している。
「約120年の歴史の中で培ってきた理念や価値観を反映し、第一三共らしいプログラムにしたいと考えています。過去の大きな事業上の変化について、どう意思決定し、会社を変化させてきたのか。そうした事例を使いながら、今後の事業環境の変化にどう対応し、意思決定していくべきかを議論しています」
グループワークでは、例えば「革新的な新薬をより早く患者に届けるために何ができるか」というテーマを議論する。AIの活用や中国企業の開発スピードの高まりなども踏まえ、各部門の取り組みを全社的な視点から捉え直す。
「普段は、それぞれの部署が業務として課題に取り組んでいます。それを全社目線で見たときに、どこに課題があるのかを考えてもらう機会になります」
プログラムの内容は、参加者からのフィードバックを受けながら随時見直している。
「初期は講義を聞く形式も多かったのですが、そこから得られるものをどう生かすか、つながりにくい部分がありました。自分たちが今後どうしていくのか、何を変えずに受け継いでいくのか。そうしたことを議論しながら学べるよう、セッションの進め方も変えています」
また、経営会議メンバーが参加者の育成に直接関わっている点も特徴の1つだ。メンターとして議論や面談を通じて関係を築き、参加者一人一人に期待する役割を伝える。小川氏自身も、参加者との1対1の面談をプログラムの開始前から期間中にかけて実施し、継続的にフォローしているという。
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