超豪華なオールキャストが再集結した人気シリーズ第3作目。といっても、今回はジュリア・ロバーツ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの出番はないが、その代わりに、大物俳優アル・パチーノとエレン・バーキンの「シー・オブ・ラブ」コンビが最大の悪役として登場する。
ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)の師でもあり、仲間のひとりでもあるルーベン(エリオット・グールド)が冷酷なカジノ経営者バンク(アル・パチーノ)に騙され、ホテルの権利を横取りされてしまう。ルーベンはショックのあまり心臓発作を起こし瀕死の状態に。それ知ったオーシャンは、仇をとるため仲間を召集し、バンクのカジノホテルをオープン当日にぶっ潰そうと、あの手この手の作戦を練る。カジノを財政的に破綻させる一方で、所有するすべてのホテルが“5つ星”ならぬ“5つのダイヤ賞”を獲得したというホテル経営者としてのメンツもズタズタにしようという作戦だ。しかし、最新鋭のセキュリティシステムがネックになるなど、さまざまな問題が勃発して……。
肩肘張らないゆるさが、このシリーズの魅力。とはいえ、前作「オーシャンズ12」は悪ふざけが過ぎて、同窓会ノリについていけなかったが、今回はその反省をふまえてか、観客を素直に楽しませようという作り手の気持ちが伝わってくる。
ストーリーが、とにかく分かりやすい。ゴージャスなホテルをいかに潰すかということに終始しており、しかも主役級のスターたちがその作戦の歯車に過ぎず、それを嬉々として演じているのだから、ひたすら笑えて痛快なのだ。
ストーリーの贅肉を落とした分、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットだけでなく、メカの天才バシャー(ドン・チードル)やマロイ兄弟(スコット・カーン、ケイシー・アフレック)、ベテラン詐欺師ブルーム(カール・ライナー)など、ひとりひとりの個性をクローズアップ。忘れてならないのは、ツバが飛んできそうなほどのオーバーリアクションでみせるアル・パチーノ。彼がこてんぱんにやられる姿がなかなかの見ものだ。何せメインキャストが13人という大所帯なので、役名と顔が一致しないフラストレーションに見舞われるが、まあ、それは最初のみなのでご安心を。
テーマは友情と絆だけに、ちょっぴり感傷的なシーンもあるが、マスコット的存在のマット・デイモンがますますいじられキャラになるなど、今まで以上に三の線が強くなり、クライム・コメディとして十分に楽しめるだろう。
(c)2007 Warner Bros. Entertainment Inc - U.S., Canada, Bahamas & Bermuda.
(c)2007 Village Roadshow Films (BVI) Limited - All Other Territories.
監督:スティーブン・ソダーバーグ/脚本:ブライアン・コッペルマン、デイビッド・レビーン
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、バーニー・マック、エレン・バーキン、アル・パチーノ
配給:ワーナー・ブラザース
8月10日より丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー
本山由樹子
ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。
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