常に白い手袋をし、ミュージックをこよなく愛し、暇さえあればCDショップの視聴コーナーに行く男、千葉の正体は死神。7日間、人間を観察し、実行=死か、見送り=生かすか、生死の判定を下すのが彼の仕事である。今日もまた、7日後に死ぬ予定になっている新たなターゲット、27歳の地味なOL、藤木一恵のもとへ……。
伊坂幸太郎の人気小説を映画化した「Sweet Rain 死神の精度」の完成報告会見が東京・有楽町の国際フォーラムで開催され、金城武、小西真奈美、富司純子、筧昌也監督が出席した。
千葉が人間界に出現する時はなぜか雨ばかりという“雨男”の設定のため、梅雨の時季を狙って昨年5月〜7月に撮影されたが、思い通りの天候には恵まれなかった。ヒロイン・一恵役の小西は「実は晴れ女なので、撮影現場に行くたびに申し訳ないと思ってました。こんなに雨を願って現場に入ったのは初めてです」と苦笑い。金城は「確かに、散水車などの機械がいつもそばに用意され、人工的に雨を降らせるまで時間がかかり、よく待っていた記憶があります(笑)」。
千葉は人間の言葉を完全に理解していないため、クールでいながら、時に天然ボケのところを見せる、今までの死神像とは180度違うイメージだ。「原作を読んだときから、映像や漫画で登場するカマを持つガイコツというイメージはなかった。伊坂さんが描いた死神の色を残しつつ、千葉だったらこんなことをやるかもしれない、面白いシーンなら、もっと面白く出来るかなと考え、アイデアを出しました」という金城。そんなチャーミングな一面を見せた金城に、小西は「撮影初日ということもあったんですけど、金城さんとは、本当に、絶妙に噛み合わない感じがあって(笑)。クスッと笑えるところが、この作品には大切だと思っていたので、これは絶対にうまくいくと確信しました」。一方、美容師役の富司は金城の印象を「金城くんにシャンプーするシーンがあったのですが、『気持ちいい』とニッコリしてくれて、ウソでもうれしかったです。優しい人だと思いました」。
本作はミュージックもポイント。歌の才能を見出される一恵を演じるにあたって、小西は「特に声を意識することなく、まずは感情ありきで演じました。でも『あなたの声がほしいんだ』と言われるシーン、このシーンは何度も試しながら、監督と話し合いながら、大切に演じました」と感慨深げに語った。主題歌「Sunny Day」も歌った小西は、役名の藤木一恵として歌手デビューが決定している。
最後に、もし7日後に死んでしまうと分かったら? と聞かれると、「今、別の映画の撮影中なので、それは困ります(笑)。一応、死神と交渉してみて、ダメならプロデューサーに相談して、早く代役を探してもらいます。あまった時間は家族とのんびり過ごすかな」(金城)、「あるがまま、毎日が幸せだったら、今のままで。でも、金城さんみたいなステキな死神だったらウエルカムです」(富司)、「手土産をもって、お世話になって人のところにお礼参りでも」(小西)と答えた。
一恵は実行か、それとも見送りか? 彼女との出会いを通して、死神・千葉が得たものとは? 爽やかな感動が待ち受ける「Sweet Rain 死神の精度」は3月22日より丸の内プラゼールほか全国にて公開。
(c)2008「Sweet Rain 死神の精度」製作委員会
本山由樹子
ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。
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