コラム
» 2008年05月13日 08時00分 公開

「写真機」のプリミティブな形を残す二眼レフカメラの構造-コデラ的-Slow-Life-

撮影に出かける前に、二眼レフの決まりについて少しご紹介。一番ややこしいのがフィルム。現像にもオキテがあるし、スプールが循環していくという二眼フィルムのルールもある。

[小寺信良,ITmedia]

 レンズやファインダ周りを掃除したぐらいで、特に直すところもなさそうなRICOHFLEX Holiday。撮影に出かける前に、二眼レフの決まりについて少しご紹介しよう。

 たぶん一番ややこしいのが、フィルムである。これはいわゆる中判といわれる「120フィルム」というやつで、通称「ブローニー判」と呼ばれている。


photo たまたま手元にあった120判のフィルム。ISO100のモノクロフィルムである

 ブローニーというのは実はコダックのカメラの名称なのだが、カメラそのものよりもフィルムの名前として生き残った。正確には、初代ブローニーは117フィルムという少し型の違うものを使用しており、120フィルムを使うのは二代目ブローニーからである。したがって正確に呼ぶとするならば、「ブローニーNo.2判」であろう。いずれにしても「ブローニー判」というのは通称なので、フィルムを買うときには「120」の数字の入ったフィルムを購入する。

 特殊なフィルムは高いと思われがちだが、それほどでもない。だいたいカラーネガで1本400〜500円程度だ。このフィルムに、普通は6cm×6cmの面積で撮影する。通称「ロクロク」というサイズで、正方形画角だ。この面積で取ると、1本12枚撮りである。

 中判のフィルムは、いろんなサイズで撮影できる。二眼カメラには別売でフィルムの面積をマスクするためのアダプタがあり、それを使うと6cm×4.5cmとかでも撮れる。長さ方向が少し節約できるので、1本で16枚撮れる。


photo 裏蓋の小窓を開けてフィルムの位置を確認する

 なぜこんなことができるかというと、大抵の二眼カメラにはフィルムの自動巻き上げ機能がなく、手動でスプール軸をぐりぐりと回してフィルムを巻き上げるのである。フィルムは、裏側から感光しないように紙を重ねてロール状になっており、この紙に数字が書いてある。カメラの裏蓋には赤い遮光フィルムが張られた小窓があり、その小窓に数字が出てくるまで巻き上げノブを回すと、1枚分フィルムが送られたことがわかるという仕掛けだ。

 6cm×4.5cmでは、フィルムの巻き上げが短くなるわけだが、裏紙にはちゃんと4.5cm撮影用の数字も書いてある。とはいうものの、撮影の最初はどこまで巻けば数字が出てくるのかわからず、いつも心配になる。35mmフィルムのカメラがいかにシステマチックになったかが、体感できる。

現像のオキテ

 カメラ内部には、巻き上げ用のスプールが必ず1本入っているものだ。120フィルムにも、軸にスプールがある。フィルムをセットして撮影していくと、巻き上げ用スプールにフィルムが巻かれていくことになる。二眼フィルムの場合は、フィルムを巻き戻すという概念がない。そもそも巻き戻すためのノブもない。巻かれっぱなしである。


photo カメラには巻き上げノブしかないのが普通

 では取り出すときはどうするかというと、巻き取り軸側にフィルムを巻き取ってしまう。裏紙が付いているので、全部巻き取ってしまえば、フィルムが感光することもない。巻き取った端には、のり付け用シールみたいなものが付いているので、それで封をして現像に出す。このとき巻きが緩いと隙間から感光してしまうので、ギュウギュウに巻かれた状態で封をしなければならない。

 さて、するとカメラには、元々フィルムの軸になっていたスプールが残る。これを取り出して、次の巻き上げ用スプールに利用するわけである。このようにスプールが循環していくのが、二眼フィルムのルールだ。

 もし中古で二眼カメラを買ったときに巻き取りスプールが入っていなかったときは、中判フィルムの現像を扱っている大きなカメラ店に行けば、たぶんタダで貰えると思う。だって現像に出したあとスプールが戻って来たためしがないので、きっとあとは捨てるだけなのだ。

 現像のみだと1本400〜500円程度、プリントすれば1枚70円程度である。12枚撮って、フィルム代から現像代までトータルで1000円弱。割高ではあるが、面積の広いフィルムならではの深度表現が楽しめる。丁寧に露出を計って構図をあれこれ考え、1枚撮るのに5分ぐらいかける。

 二眼カメラとは、そうやってゆっくり撮影を楽しむ世界なのである。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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