コラム
» 2008年05月23日 08時00分 公開

半世紀の時を越えてよみがえる描画力-コデラ的-Slow-Life-

RICOHFLEX Holidayで撮影をしてみた。廉価モデル、しかもろくにメンテナンスもしていなかったのに、ものすごくよく撮れていてびっくり。日本製カメラの“本物の力”が、半世紀を経てよみがえった。

[小寺信良,ITmedia]

 このRICOHFLEX Holidayを受け取ったときには、すでにフィルムがセットされていた。義兄が撮影しようと思って入れたものの、そのまま放置していたもののようだ。いつのフィルムか分からないが、まあ調子を見るための試し撮りにはちょうどいいだろう。

 実際に撮影を行なうには、露出計が必要になる。いったんアングルを決めたら、そこで露出を計ってシャッタースピードと絞りを決めるわけだ。だがフィルム感度はせいぜいISO100、シャッタースピードに至っては最高速で1/100秒なので、どうしても絞り気味にしかならない。


photo ルーペを使ってフォーカスの細部が確認できる

 晴れた日の午後に撮影したが、この条件下ではどうしても絞りは日陰でF5.6〜F8、日が当たる場所ではF11〜F16ぐらいになってしまう。正方形のファインダは、周辺部が暗くなってしまって、それほど見やすいものではない。ただかなり絞ることになるので、フォーカスはだいたい合ってれば大丈夫だろう。細かいところまで見るときは、背後にはまっているルーペを起こして、細部まで確認することができる。

 レンズはF3.5の80mm、ANASTIGMATと書いてある。意味は「非点収差のないレンズ 」だそうで、今どきのレンズのようなブランド名ではないようだ。画角は80mmだがフィルムがデカいので、35mmに換算するとだいたい50mm前後ではないかと思われる。

 真四角なアングルは、構図がなかなか決まらない。近頃はハイビジョンカメラで撮影する機会が多くなって、横長の画角に慣れてしまっていることもあって、なんとなく中庸な構図ばかりになってしまう。正方形を生かした構図は、そもそも被写体の選択からして難しい。

 それでもなんとか12枚撮影し、現像に出してみた。

よみがえる本物の力

 二眼とはいえ廉価モデル、しかも半世紀前でろくにメンテナンスもしていないので、ちゃんと映らないかもしれないとバカにしていたのだが、現像から上がってきたらものすごくよく撮れていてびっくりした。あいにくフィルムスキャナが6×6にまで対応していないため、端の方までちゃんとスキャンできないのが残念だ。

photophoto F16ぐらいだが、結構深度が浅い(左) 何気ないカットにも、立体感がある(右)

 F8やF11ぐらいまで絞ったカットでも、深度がかなり浅めで立体感がある。発色に力があり、インフォーカス部の輪郭の切れの良さからアウトフォーカス部までなめらかにつながる立体感があり、中判の魅力が良く出ている。フィルムの巻き上げを忘れて何枚か二重露光しているが、そういうカットもまたいい。

photophoto 二重露光だが、同じような絵柄なので見られる絵になった(左) 二重露光の跡がスタンプのように残る(右)

 以前興味本位で中国製のSEAGULL 4B-1という二眼カメラを買ったことがあるが、発色もイマイチでぼんやりとしか写らなくて、がっかりした。6×6も古いフォーマットだからこんなものなのかなと思っていたのだが、RICOHFLEX Holidayの写りは、まったく比較にならない。

 SEAGULLは現行機種ではあるが、どちらかと言えば本物のフィルムを使うトイカメラのような存在なのだろう。それに比べれば50年前とはいえ、ガチで本気の日本製カメラのほうが絵作りという点で上というのは、ある意味当然かもしれない。

 最近は花々も一段落した感じだが、夏の花の時期にもう一度、ちゃんとしたフィルムで撮り直してみたい。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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