地球温暖化や森林伐採に対するシビアな問題意識から、「なんとなく環境に配慮してそう」「地球に優しそう」というユルいものまで、ふと気がつくと “エコ”という言葉が身の回りにあふれかえっている今日このごろ。巷では大排気量のスポーツクーペとは違うベクトルでハイブリッドカーやコンパクトカーが若い女性からの支持を集め、ゴミ拾いなどのエコ活動を通じたコミュニケーションの広がりなどにも注目が集まっている。 そんな“エコモテ”トレンド事情について、環境ファッションマガジンとしていち早く「LOHAS」という言葉とライフスタイルに注目し、創刊以来エコトレンドシーンを牽引し続けている雑誌「ソトコト」の指出一正副編集長にお話をうかがった。 |
――「LOHAS」の概念は、おしゃれなライフスタイルとして、今やすっかり定着しましたよね。日本のエコへの取り組みや一般認知度などの変遷を、肌で感じていらっしゃると思いますがいかがでしょう? 「一般の方々のエコへの意識が大きく変わったのは、2005年の愛知万博が追い風になっていると思います。『LOHAS』が、一過性のブームとして消費されなかったのは、語感の響きが美しかったことと、環境への意識の高まりを現しています」 ――エコがファッションとしても一般に受け入れられていることを、どう感じていらっしゃいますか? |
「外見のおしゃれとしてのファッションは、1990年代に一定のレベルを持ち得て、もう万策尽きていると思うんですね。そこから2000年に入るとファッションは、より一層自分らしさを磨いて表現するために、知性を養うことや、人間はどう生きていくべきかを考えるなど、インナービューティーを磨くことが注目されるようになってきた。また、内面の磨き方のお手本になるような人々がファッショナブルであったこと、グリーンセレブの影響も大きいですね」 ――外見がおしゃれであることは、もう当たり前。これからは、いかに自分の内面を磨くかが、モテのポイントでもあるわけですね。 「今の20代の人たちは、『消費』への価値観が薄れているんですね。労働と消費の間にあるもの、より自分に充実感を与えてくれるものに価値を認めていると感じます。例えば車なら、高級車を手に入れるより必要な時にハイブリッドカーをカーシェアリングした方がいいだろうとか、休日は地域のゴミ拾いや鎌倉のお寺に行って掃除するなどのプチボランティアやエコ的な村の過ごし方もいいよねとか、ファッションならフェアトレードを選びたいとか、明らかにそれ以前の若者層よりも変わってきていますね。弊誌も創刊から9年になりますが、認知度は上がる一方で、新しい読者層の裾野も広がり続けていますね」 ――確かに、“エコ”という言葉を見ない日はないですよね。その中にもトレンドのテーマはあるのでしょうか? 「CO2問題、食料の自給、共生社会など、どのテーマも重要だとは思いますし、エコ問題の大きな流れを知っておくことは大切だと思いますが、しいてあげるなら今のトレンドは森林保護ですね。かつてゴルフと釣りと天気の話はエイジレスに受け入れられる話題とされていましたが、今は環境の話題も不可欠です。さりげなくとり入れることによって知性や時事問題への関心度もアピールできますし、外見をスタイリッシュにしている方ならばギャップも演出できる。モテということならば、合コンのシーンまでマルチに対応できるのではないでしょうか(笑)」 |
――なるほど〜! では、エコ×ファッションのパイオニア誌の視点から、今日からでも実践できるエコモテ道を読者に伝授いただけますでしょうか。 「他人に強要しないこと、オタクになりすぎないこと。暗鬱とするのではなく、明るい未来に結びつける。ハードエコではなくソフトエコが、モテるマインドだと思います。例えば遅刻したら『ごめんね、地球温暖化のせいで遅れちゃった〜』と謝るとか、そのくらいのユルさの方が一般に受け入れやすいと思います。また、話題を提供するなら、オリジナリティを演出するのも大切ですね。マイ箸を持っていても、今は話題性が薄いですよね。僕の友人に、鹿児島の伝統を守り続ける釜元で焼いてもらったオリジナルのマイおちょこを持ち歩いている奴がいて、取り出すたびに話題になります。国内だけでなく海外の情報を仕入れておくのも良いと思います。合コンなら、1番人気を狙うのではなく、2番や3番手のモテ度を狙う。このくらいのユルさもソフトエコなマインドではないでしょうか(笑)」 |
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「ラブコト」(8/8発売予定・木楽舎/880円) 坂本龍一編集長の下、ゲストエディターに20代OLのカリスマ、蝶々氏を迎え、女性による、女性のための、ラブと環境をテーマにした初のラブ・ライフマガジン「ラブコト」。 「今、日本の男女の、愛に対する体温の低さが問題になっていますよね。環境とは本来、生存本能と直結し、エコを考えることは人間力や生命力の強さを表すものです。というわけで、『女のエコには、愛がなきゃ!』がテーマに、愛への感度や体温が上がる1冊です」 |
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「地震イツモノート」(地震イツモプロジェクト編・木楽舎/1500円) 「世界や日本のいたるところで大地震の災害が起こる昨今、まったく他人事ではないですよね。そんな『モシモ』に備えた、“証言”と“絵”による新しい防災マニュアルです。不意の災害に見せるあなたの冷静な判断力や対応力に、モテ度が上がること間違いありません!」 |
取材・文/似鳥 陽子
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