大人気コミックを原作とし、シリーズ全3部作で制作費60億円、約300人の豪華キャストという大規模な展開が話題の映画「20世紀少年」(8月30日公開)。その完成披露イベントが8月7日、東京・六本木で開催された。会場には唐沢寿明さんをはじめとする出演陣、堤幸彦監督、原作および映画の脚本を手がけた漫画家の浦沢直樹さん、同じく原作・脚本に携わった長崎尚志さんが登場。さらに、巨額を投じて制作したという“巨大ロボット”が姿を現し、イベントを盛り上げた。
大阪万博の開催が翌年に迫った1969年、小学生だった主人公・ケンヂが、遊び仲間と共に作った「よげんの書」には、世界征服、人類滅亡計画、正義のヒーローの登場など、子供らしい空想を働かせて生み出した数々のストーリーが記されていた。
それから四半世紀を経た1997年、ロック歌手の夢をあきらめ、さえない日々を送るケンヂの周辺で、さらには世界各地で、かつての「よげんの書」になぞらえた事件が次々と起こりだす。その背後に見え隠れする謎の人物「ともだち」。謎が謎を呼ぶ展開の中で、ケンヂたちは世界滅亡を阻止すべく立ち上がる……。
原作漫画は累計発行部数2000万部と国民的人気を誇るが、堤監督は原作の「完コピ」を徹底したという。イベントでは、「自分で言うのも何だが、本当に面白い作品になっていると思う。原作が大好きな人もそうでない人も、ぜひ劇場で楽しんでほしい」(堤監督)と、自信を示した。原作者の浦沢さんも、「観客として作品を観て、思わず3回泣いてしまった。期待をはるかに超える映画。さすがは堤監督です」と大満足の様子。漫画のプロット共同制作者であり、映画の企画・脚本も担当した長崎さんは、「“映像化できない漫画を作ろう”と思って始めたのに、自分が映像化の企画を持って歩き回るとは。映画を観て心地よい敗北感を味わった」と、映画の出来映えに舌を巻いたようだ。
ケンヂ役である唐沢さんは、「“映像化できるかな”と僕らも思ったが、本当に面白い作品になって、第2章が待ち遠しい」とコメント。さらに、ヨシツネ役の香川照之さんからは、「寒い中撮影が始まって、毎日大変な現場で徹夜徹夜をやらせていただきました。浦沢さんは3回泣いたと言うけど、私は撮影中に3回以上泣いてます(笑)」と、現場の壮絶さをうかがわせる一言も。
1999年に連載を開始し、“20世紀を検証する”というテーマも持つという「20世紀少年」。その物語には、1960年生まれの浦沢さんが体験した子供時代や青春時代のエピソードが盛り込まれている。マルオ役の石塚英彦さんは、「特に1950年代後半から1960年代に生まれた人には、(作品との)共通点があるのでは?」と話す。ヤン坊・マー坊役の佐野史郎さんは、「昭和30年代、40年代の、子供のころのことが映画でよみがえって、ウルっときた」と語り、「東宝の怪獣映画、特撮映画、空想科学映画を観るのが一番の楽しみだった。大人になってこうして映画に参加できて、非常に興奮しています!」と熱くコメントした。
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