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» 2008年09月08日 11時40分 公開

+D Style News:「歌舞伎役者」なアンジェリーナ・ジョリーに注目――「ウォンテッド」監督インタビュー

ユニークなアクションと世界観で全米1億ドル突破の大ヒットを飛ばした映画「ウォンテッド」。ティムール・ベクマンベトフ監督によれば、アンジェリーナ・ジョリーの演技は「まるで歌舞伎役者」だという。

[本山由樹子,ITmedia]

photo ティムール・ベクマンベトフ監督

 ターゲットに向かって弾丸が湾曲し、車がスローモーションで宙に舞う。マーク・ミラーの人気グラフィックノベルを、「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」でロシア映画の興行記録を塗り替えたロシア人監督ティムール・ベクマンベトフがクールに映像化した「ウォンテッド」(9月20日公開)。暗殺者としての才能に目覚める主人公ウェスリーに扮するは「つぐない」のジェームズ・マカヴォイ。美しき暗殺者フォックス役にはアンジェリーナ・ジョリー、さらに組織のボスはモーガン・フリーマンという豪華さで、全米では1億ドル突破の大ヒットを記録した。アクション大作「ウォンテッド」でハリウッド進出を果たしたティムール監督に、単独インタビューを敢行!

――熱狂的ファンのいるコミックを映画化するにあたって、気をつけたことはありますか?

ティムール・ベクマンベトフ(以下ティムール): もともと原作のファンだったから、なるべく原作の魂や雰囲気を残せるように努力したよ。特に、主人公のウェスリーが自分自身を皮肉っているところ、自虐的なところが原作の面白いところだから、それは絶対に反映させたかったんだ。現実離れしてなくて、われわれの身近にいそうな、人間らしいキャラクターは魅力的だからね。


photophotophoto (C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
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――初めてのハリウッド映画で、こんな大作はすごいですね。ビッグ・バジェットの作品で、やりたい放題できたのでは?

ティムール: まだまだ、やりたい放題ではないんだよ(笑)。“食欲は食事中に生まれる”というロシアのことわざがあるんだけど、食べれば食べるほど食欲がわく、つまり、いくら予算があっても足りないんだよ。でも大事なのは予算じゃないからね。いくら大金をかけても映画が絶対にヒットするとは限らないし、逆に予算が膨張したからこそ、映画はまあまあというふうに終わってしまうケースもある。今回は、僕が撮りたいこと、やりたいことをやらせてもらえて、感謝しているよ。

――アクションが豪快かつマンガ的で、テンションが上がりますね。特異体質を持つ主人公の心拍数が上がるとアドレナリンが分泌され、身体能力が驚異的にアップする“アサシン・モード”に切り替わるところなど、アイデアも面白かったです。

ティムール: 心拍数を音響効果に取り入れたのは、僕たちが内部に抱えている恐怖心を表現したかったから。鼓動が速くなると、自分の身体をコントロールできなくなると思われているよね。僕らはまだ自分たちの身体の仕組みを完全に理解していないから、ウェスリーも同様に、せっかく伝説の暗殺者だった父親の素質は持っているのに、自分ではそれを受け止めることができずに、心拍数が上がるのはストレスからくる病気だと考えているんだ。


photo (C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

――ジェームズ・マカヴォイはアクション映画のイメージはなかったんですが、ハマリ役でしたね。

ティムール: まさに、それが狙いだったんだよ。ウェスリーは普通の人間のように見えるけど、中身は違う。さえない青年が戦闘員(暗殺者)に成長していく道のりを劇的に見せていくから、観客がそんな彼に共感できるような人物でなくちゃいけないんだ。マカヴォイはこの変化を、説得力たっぷりに演じてくれたよ。

――アンジェリーナ・ジョリーのカッコよさにも痺れました。

ティムール: アンジェリーナ・ジョリーのアクションは完璧だったけど、自分自身を抑えるという内面部分の演技にも注目してほしい。フォックスという女性は、本当の自分を常に抑えているんだ。女性としての感情と暗殺者としての義務感・責任感との間で、常に葛藤している。まるで歌舞伎役者みたいだよね。


photophoto (C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

――歌舞伎ですか。監督は日本の文化にも興味があるのでしょうか?

ティムール: 今回、初来日だけど、日本の雰囲気はとても自分に合っていると思う。「ウォンテッド」も日本の文化はもちろん、メンタル面でも影響を受けている部分があるんだよ。例えばアンジェリーナ・ジョリーが最後にとる行動はサムライのようだしね。

――ところで、現場でコミュニケーションをとるのは大変だったのでは?(このインタビュー時はロシア語)

ティムール: 英語ができるから、現場では問題なかったよ。いや、マカヴォイとはコミュニケーションをとるのが、なかなか難しかったかな。彼はスコットランドなまりの英語で、僕はロシアなまりの英語だから。でも、映画は素晴らしい仕上がりになったから、マカヴォイとは超能力レベルで意思の疎通ができていたのかもね(笑)。


 インタビュー時間はわずか15分という短さだったが、その穏やかな口調と物腰から、ティムール監督の人柄の良さは十分伝わってきた。とても、観客の脳ミソをスパークさせるようなアクションを作り出す監督とは思えない! 「原作のネタも随所に散りばめられていて、特に冒頭は原作をそのまま映像化したよう。すばらしい」と原作者マーク・ミラーもお墨付きの新感覚アクションを、劇場で体感しよう!

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