次世代リゾート・ドバイの魅力：特集　セレブを魅了する砂上のリゾート（1/3 ページ）

　宇宙からも見えるという人工島リゾートや、7つ星とも言われる豪華なホテル、800メートル級の高さを目指して建設中という「ブルジュ・ドバイ（バージュ・ドバイ／ドバイタワー）」など、次々に手がけられるバブリーなプロジェクトが話題のドバイ。世界有数のラグジュアリーリゾートとしてその名前が挙げられるようになったことで、一部の混沌とした治安や政治情勢の話題が先行しがちなアラブ地域のイメージが、エキゾチックでゴージャスなものへと変化した読者も多いのではないだろうか。

　もともとは小さな港町にすぎなかったドバイが、砂上のリゾートシティとして世界の前に忽然と姿を現すようになったのは1969年以降のこと、石油が発見されてからである。

　「1950年代のドバイの人口は5000〜6000人ほどでした。1971年に国際空港が、1990年にアブダビとドバイを結ぶSheikh Zayed Roadが開通してから飛躍的に人口が増え、現在、年間700万人の人々がドバイを訪れるようになりました」（ドバイ観光局・Saeed Nasser Al Mutawaさん）

　一般的には、オイルマネーで潤っていると思われているドバイだが、石油の埋蔵量は、実は多くはない。それを把握し、石油依存型の経済から脱却をはかるべく、タックスフリーでの外国企業の誘致と、観光プロジェクトに力を注いできた結果が、世にも稀なるアラブの観光王国となった現在のドバイの姿なのだそう。

　「ドバイ建国の父と呼ばれるシェイク・ラシッド首長が生み出した一大観光産業は、2015年までに全てのプロジェクトが完了する予定で、年間1500万人の観光客がドバイに訪れることを目標としています」

　ドバイ観光プロジェクトのコンセプトは、世界でナンバーワンの観光立国になること。その象徴ともいえるのが、7つ星とも評されるホテル「バージュ・アル・アラブ（ブルジュ・アル・アラブ）」である。海岸から280メートルほど離れた人工島の上にそびえ建ち、アラビア海を一望する高さ321メートルのホテルは、王者のオーラを放ってビーチに君臨している。

　館内は、すべての部屋がメゾネット形式のスイートルーム＆オーシャンビュー、王族が使用しているものと同じ家具を用いたインテリアや、ロールスロイスでの送迎サービスなど、“考え得る限りの最高のもてなし”を実現するゴージャスなしつらえを誇りにしている。ホテル入り口にはセキュリティゲートが2カ所あり、ホテルかレストランに予約がなければ入館できない。ホテル内の各階にはバトラーデスクが設置されて入館者の身分証明書をチェックし、ビジターお断りというものものしさである。

　緊張しながらホテルのロビーに入ると、ローズウォーターの入った水差しやおしぼり、干したデーツ（ナツメヤシ）の入った器をそれぞれに持ったスタッフが笑顔で歓迎してくれた。ゴールドと水、レインボーの色彩に溢れた館内に圧倒されて王族気分満点。夜ともなれば、ホテルの外観がレーザー光線でライトアップされ、海の上に幻想的に浮かぶ。ドバイが誇る「バージュ・アル・アラブ」は、アラビア……というよりは、カテゴリーを超越した宇宙感が漂うゴージャスなホテルである。

　「バージュ・アル・アラブ」が近未来的なアラビアン・リュクスを表現しているとするならば、伝統的なアラブのゴージャスを打ち出しているのが、おとなりのリゾートエリア「マディナ・ジュメイラ」である。アラブの建築と文化の伝統を再現した広大なリゾートエリア内にはいくつも水路があり、移動に昔ながらの船上タクシー“アブラ”を模した船を使用するユニークなシステムが特徴。木造船でゆったりと水路を渡り、ロマンティックなアラブ建築のホテルを眺めていけば、テンションが上がること間違いなし。

　エリア内には、3つのラグジュアリーホテルのほか、スーク（市場）を模したショッピングゾーンや、アラブならではのリラックス施設“ハマム”を備えたスパもあり、ビジターでも十分に、アラブならではのゴージャスなリゾートエリアの雰囲気を楽しむことができる。

　ドバイのラグジュアリーホテルに共通することは、ゲストにアラブの文化とホスピタリティを伝えたいというエンターテインメント性である。ただリラックスしてリュクスな雰囲気に浸るだけではなく、急激に進化し続けるドバイの最先端の“今”を知ることができるスポットでもあるのだ。