コラム
» 2008年09月26日 11時13分 公開

「僕らのミライへ逆回転」+D Style 最新シネマ情報

体が磁気化(!?)した友人のせいで、ビデオの中身が消えちゃった――レンタルビデオ店を舞台に、消えた名作を“自分たち”で撮り直すという展開がユニークな同作。笑いだけでなく、映画への愛を感じる作品だ。

[本山由樹子,ITmedia]

 「ヒューマンネイチュア」「エターナル・サンシャイン」「恋愛睡眠のすすめ」といった、ポップでオシャレな作品を十八番とするミシェル・ゴンドリー監督。彼の最新作「僕らのミライへ逆回転」は、レトロなレンタルビデオ店を舞台にした、映画への深い愛を綴ったノスタルジックな物語だった。

photo (C)Newline Productions/Junkyard Productions

 レンタルビデオ店で働くマイク(モス・デフ)は、店長のフレッチャー(ダニー・グローヴァー)が留守の間、店を任されて大張り切り。しかし発電所で強い電磁波を浴び、体が磁気化してしまった廃品業の友人ジェリー(ジャック・ブラック)のせいで、全てのVHSの中身が消去されてしまう。タイミングの悪いことに、常連客のおばさんが「ゴーストバスターズ」を借りにきた。窮地に陥ったフレッチャーとジェリーが考えたアイデアとは、自分たちで名作を撮り直し、それを貸し出すというもの。ところが、このめちゃくちゃチープなリメイク版が大ウケして、2人は街の人気者になっていく……。

 ジェリーたちが作るリメイク版は、劇中ではスウェード版と呼ばれている。これはスウェーデンから輸入しているというジェリーのとっさの言い訳からできた造語なのだ。

photophoto (C)Newline Productions/Junkyard Productions

 ダンボールで作られた手書きの背景に、全身アルミホイルのスーツでゴースト退治に赴く「ゴーストバスターズ」のほか、「ロボコップ」「2001年宇宙の旅」「ライオン・キング」「ラッシュアワー2」「キャリー」など、珍妙なスウェード版=リメイク版の数々に大笑い。これらを作るのはラッパーのモス・デフと「スクール・オブ・ロック」「キング・コング」のジャック・ブラック。人手もないしお金もない究極の低予算でも、リクエストがあればいかなるシーンも作ってしまうという、その情熱は見ていて気持ちがいい。

 下町の温かさも感じられて、邦題からは想像がつかないほど、とってもイイ話。その中には、現在の映画作りにはハンドメイドの楽しさが失われているのではないかというゴンドリー監督の嘆きも見え隠れする。この秋、拾い物の一本なので、ぜひ映画館でご覧ください。

僕らのミライへ逆回転

監督・脚本・製作:ミシェル・ゴンドリー

出演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローヴァー、ミア・ファロー

配給:東北新社

10月11日よりシネマライズほかロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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